研究実績の概要 |
正則一様なハイパーグラフの隣接行列とは,頂点集合で添え字づけられる行列で,その(u,v)成分は,u,vを含む辺の個数で定義される.ハイパーグラフの固有値とは,この隣接行列の固有値のことである(ハイパーグラフの固有値については他の定義の方法もある).線形計画限界とは,異なる固有値の値から,ハイパーグラフの頂点数の上界を与える手法である.Jack Koolen(University of Science and Technology of China),Sebastian M. Cioaba(University of Delaware),Takayuki Okuda(広島大),Masato Mimura(東北大)との共同研究として,ハイパーグラフの線形計画限界を用いて,以下のように既存の結果を改善した.Feng-Li(1996)は正則一様なハイパーグラフの第二固有値(二番目に大きい固有値)をある値以下としたとき,直径に対して上界を与えた.直径の上界を得ると,Mooreの上界から頂点数の上界が得られる.本研究では,同じ第二固有値の条件に対して,線形計画限界を適用して得られる頂点数の上界が,Feng-Li (1996)が与えた上界より良いことを示した.また,Dinitz-Schapira-Shahaf(2020)で与えられている,正則グラフの固有値と直径を用いたMooreの上界の改善に対して,正則一様なハイパーグラフへの一般化と,ある種の部分的な結果の改善を行った.また,r,uを固定し,r-正則,u-一様なハイパーグラフの中で,第二固有値tを具体的に固定し,最大頂点数を持つグラフを決定する問題に対して(その様なグラフでは,ある種の良い連結性が保証される),いくつかのタイプの(r,u,t)に対して最大なグラフを決定した.
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