研究実績の概要 |
篠原雅史氏(滋賀大),須田庄氏(防衛大)と共に取り組んでいた,擬ユークリッド空間(pseudo-Euclidean space)上のs-距離集合に関する論文が,専門誌「Bulletin of the Iranian Mathematical Society」へ掲載された.特に,ユークリッド空間上で扱われてきたグラフの埋め込み理論の擬ユークリッド空間R^{p,q}への拡張を含んでおり,ユークリッド空間で成り立つ種々の定理の拡張の糸口になることが期待される.両氏と共に,ジョンソングラフとハミンググラフのスイッチングから得られる全てのグラフの中で,擬ユークリッド空間への埋め込み次元が最小となるグラフの決定に成功した.この結果をまとめた論文は最終段階を迎えており,近く公表する予定である.
平尾将剛氏(愛県大),田坂浩二氏(近畿大)と共に取り組んでいた,D4ルート系のT-デザインとしての最小性とその一意性を示した論文が,Research in Number Theoryに出版された.また,これに関する内容を「離散数学とその応用研究集会 2023」で招待講演者として発表した.D4格子に関わる球面デザインについて,四元数との関わりも観察できており,特に,球面デザインの「強さ」に関わる研究が進展中である.
ユークリッド空間上の有限集合で,その2点間の距離の値が,ある代数体の整数環に含まれるとし,ある素イデアルを法とすると,1種類の値しかその距離に現れないものをモジュラー1距離集合と呼ぶことにする.R^d上のモジュラー1距離集合の元の個数はd+2以下となることが分かっており,この上界を達成するモジュラー1距離集合が存在する次元を決定した.これは単独で行い,まとめた論文は専門誌へ投稿済みである.
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