研究実績の概要 |
2019年度は,本研究課題の目的,すなわち,幾何構造に関連して重要な方程式の幾何学的解および解曲面を幾何学的制御理論の側面から,その対称性・双対性・特異性に注目して研究し,ラグランジュ・ルジャンドル特異点論の一般化としてフロンタル写像の特異点論を発展させることに成功した.とくに,フロンタル特異点とその双対概念であるコフロンタルを導入できたこと,および,フロンタル特異点の認識問題の解決を多数得られたことは大きな成果である.また,幾何構造によって必然的に現れる特異性の分類リストは幾何構造に依存して変化するが,その相違が幾何構造の特性であることに着目し,幾何学的動機付けのもとで特異点の解析・分類を行い,特異点とその分類の幾何学的意味を明らかにし,幾何学の新たな方法を提示・応用する研究を行なうことができた.特に,微分式系の幾何構造の研究で重要な(2,3,5)分布の分類の双対性を完成させたことは今年度の大きな成果である. 当初の計画通りに,九州(6月),バレンシア(10月),京都(12月)における幾何学あるいは特異点論の研究会に出席・講演し,参加者と問題意識を共有しながら研究連絡を行った.また,ワルシャワ(ポーランド)において研究協力者のヤネチコ教授(ワルシャワ工科大)と研究連絡を行い,それに基づき,ラグランジュ特異点の特異性,不変量,分類に関する共同研究を実施した,その成果は,国際的専門雑誌に受理され出版予定となっている(G Ishikawa, S. Janeczko, Singular mappings and their zero-forms, .業績リスト参照).また,フロンタル特異点の特徴づけの論文を出版し,並行して,研究協力者との共同研究により, (2,3,5)分布の双対性を完全に記述する結果や,関連する実代数幾何に関する共同研究を完成させて出版した.(業績リスト参照).
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