研究実績の概要 |
2020年度は,2019年度に引き続き,本研究課題の目的,すなわち,さまざまな幾何構造に関連して重要な方程式の幾何学的解および解曲面を,幾何学的制御理論の側面からその対称性・双対性・特異性に注目して研究した.特に,ラグランジュ・ルジャンドル特異点論の一般化としてフロンタル写像の特異点論をさらに発展させた (G. Ishikawa, Recognition Problem of Frontal Singularities, Jour of Singularities, vol.21 (2020), 149--166) .また,ユークリッド空間内の法平坦なフロンタルの平行フロンタルを定義し,特にフロンタル曲線の接線曲面について,平行フロンタルの特異性に関する結果を得るなど,幾何学の新たな方法を提示・応用する研究を行なった.この研究は,ユークリッド空間から一般的なクライン幾何・リーマン幾何,さらにカルタン幾何の枠組みへの一般化を内包した研究であることから注目している. 新型コロナ感染症の影響で,残念ながら予定していた2020年度の国内・海外の研究打ち合わせ出張はすべて中止またはオンライン研究会となった.そのため,オンラインによる研究環境を強化するためパソコンを1台購入した.海外出張予定だったロシアおよびブラジルでのオンライン研究会において当該研究のポスター発表を行い,関連して研究成果(Goo Ishikawa, Normal and tangent maps to frontals, to appear in Journal of Mathematical Sciences, ) を出版確定した.また,研究協力者のヤネチコ教授(ワルシャワ工科大,ポーランド)と共同研究を出版した(G. Ishikawa, S. Janeczko, Singular mappings and their zero-forms, Pure and Applied Mathematics Quarterly, Volume 16, Number 5, (2020) 1643--1657. ) .
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今後の研究の推進方策 |
研究課題に関して得られた結果および知見に基づき,次の2つの研究を推進する:1. (3, 5) 分布の研究.2. (4, 7) 分布の研究. 1. の(3, 5)分布の研究 は,すでに得られた (2, 3, 5) 分布に関する研究:G. Ishikawa, Y. Kitagawa, A. Tsuchida, W. Yukuno, Duality of (2,3,5)-distributions and Lagrangian cone structures. G. Ishikawa, Y. Machida, M. Takahashi, Singularities of tangent surfaces in Cartan's split G2-geometry, G. Ishikawa, Y. Kitagawa, W. Yukuno, Duality on geodesics of Cartan distributions and sub-Riemannian pseudo-product structures,の発展・継続として,5次元多様体上の階数3の分布で,一回のブラケットで全体となるものの大域的な存在条件を解明するものである.また,2. (4, 7) 分布の研究では,インスタント分布の不定値計量版として,特異曲線全体の空間上の幾何構造を考慮して得られる双対性と特異性を解明するものである. 新型コロナ感染症の状況を注意深く見守りながら,安全に配慮して可能な範囲で国内・海外出張を実施し研究課題の解決に取り組む所存である.万一,状況の好転が見込まれない場合に備えて,目標の研究課題の中で,オンラインで解決可能な研究課題に特化することで研究成果を得るなどの研究計画変更を柔軟におこない,積極的に成果発表を実施していく.
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