研究実績の概要 |
本研究の主要課題である「調和写像の構成と等質空間内の曲面論への応用」に関し、等質空間の幾何学の観点から研究を遂行し以下の研究成果を得た。 (1)小林真平氏との共同研究を継続し、調和写像による3次元双曲空間内のガウス曲率一定曲面の構成法を完成させることができた(共著論文を準備中)。本研究課題で目標としていた研究成果が得られた。(2)「調和写像を用いた曲面の構成」においてはしばしば調和写像の摂動が研究の指針を与えてきた。1次元の調和写像である測地線の摂動である「磁場軌道」に研究対象を絞り、研究を遂行した。 初年度から前年度までに行ってきた3次元等質空間内の接触磁場軌道の研究成果を俯瞰する着想を得た。キリングベクトル場を指定した3次元等質空間に対し、3次元等質空間の磁場軌道と沈め込みの底空間内の磁場軌道の関係を詳細に調査した(前年度までに研究を行った3次元磁場軌道は全てこの枠組みに収まる)。 この俯瞰する枠組を利用することにより佐々木空間形の磁場ヤコビ場を決定することに成功した)。(3)サーストン幾何のモデル空間の一つであるSL(2,R)は接触多様体の基本的な例である。前年度までの磁場軌道に関する研究成果を再度、精査したところ、SL(2,R)の磁場軌道が等質な曲線であることが予想された。Munteanu氏と共同研究を行い、SL(2,R)の磁場軌道は全て等質であることを証明し、明示公式を与えた。(Munteanu氏との共著論文を発表)。研究成果(2)と(3)に関し、研究発表(口頭発表)を行った。(4)応用として美的曲線の幾何学的理論に関する論文を発表した(軸丸芳揮氏、梶原健司氏、三浦憲二郎氏、Wolfgang Schief氏との共著)また日本建築学会のパネルディスカッションで、前年度までの研究成果とその後の進捗について発表した。
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