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2021 年度 実施状況報告書

ガウス写像の値分布と曲面の大域的性質への応用

研究課題

研究課題/領域番号 19K03463
研究機関金沢大学

研究代表者

川上 裕  金沢大学, 数物科学系, 准教授 (60532356)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード極小曲面 / ガウス写像 / 完全分岐値数 / 除外値数 / 解析的完備性 / 解析的延長
研究実績の概要

本課題の目的は,曲面または部分多様体の形状とそのガウス写像との間の関係を明らかにすることで,空間内の曲面または部分多様体の大域的性質を研究する方法を確立し,その応用を与えることである.今年度は主に2つの進展があった.1つは,有限全曲率完備極小曲面のガウス写像の完全分岐値数の研究の進展である.我々は以前の研究でガウス写像に対して除外値数の精密化にあたる完全分岐値数と呼ばれる数を定義し,その数が2.5となる有限全曲率完備極小曲面の例を宮岡礼子氏・佐藤勝憲氏が構成した例の中から発見した.この発見以降,例は見つかっていなかったが,報告者の研究室の学生である渡邉元嗣氏との共同研究により,ガウス写像の完全分岐値数が2.5の新しい有限全曲率完備極小曲面の例が発見された.完全分岐値数の概念を提唱してから十数年間発見されていなかったので,この発見は非常に意義のあるものである.また,渡邉元嗣氏との共同研究で,4次元ユークリッド空間内の種数が0の有限全曲率完備極小曲面のガウス写像の除外値数および完全分岐値数について,その評価の最良性を示す例も発見した.この研究の1つの目標であるオッサーマンの問題を解決するためには種数1以上のものを調べる必要があるので最終解決とまではいかないが,少なくとも種数0の場合は評価の最良性が完全に分かったのでその意味でこの成果の意義は大きいと考える.もう1つは,梅原雅顕氏,山田光太郎氏らとの共同研究で,曲面の解析的延長を持たないことを判定するために「解析的完備性」という概念を導入し,その判定法を与え,それをもとに3次元ド・ジッター空間内の平均曲率が1の曲面の例であるトライノイドの幾つかのクラスにおける解析的完備性を示した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新しいガウス写像の完全分岐値数が2.5の有限全曲率完備極小曲面の例の発見は予想外の非常に大きなものであったが,これまでわかっていなかった有限全曲率完備極小曲面のクラスのガウス写像の性質が徐々に明らかになってきたので,研究が順調に進展していると考えられる.

今後の研究の推進方策

最終年度で,これまで得ることの出来た渡邉元嗣氏とベトナムの研究者のハ氏との共同研究の成果を学術論文にまとめたいと考えている.また,研究集会などで発表することで,今後の研究をどのように発展していくかも模索したいと考えている.

次年度使用額が生じた理由

今年度も新型コロナの感染拡大の影響で研究出張が制限されたため,旅費の支出が当初より少なくなった.来年度は最終年度で研究講演の機会が増えるので,その際に積極的に使用したい.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 5件)

  • [国際共同研究] Korea university(韓国)

    • 国名
      韓国
    • 外国機関名
      Korea university
  • [国際共同研究] Hanoi National University of Education(ベトナム)

    • 国名
      ベトナム
    • 外国機関名
      Hanoi National University of Education
  • [雑誌論文] Heinz-type mean curvature estimates in Lorentz-Minkowski space2021

    • 著者名/発表者名
      Honda Atsufumi, Kawakami Yu, Koiso Miyuki, Tori Syunsuke
    • 雑誌名

      Revista Matematica Complutense

      巻: 34 ページ: 641~651

    • DOI

      10.1007/s13163-020-00373-9

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Recent advances in value distribution of the Gauss map of a complete minimal surface2022

    • 著者名/発表者名
      Yu Kawakami
    • 学会等名
      Workshop on Surface Theory -UY60-
    • 招待講演
  • [学会発表] Recent advances in value distribution of the Gauss map of complete minimal surfaces2022

    • 著者名/発表者名
      Yu Kawakami, Mototusgu Watanabe
    • 学会等名
      Workshop on Differential Geometry and Geometric Analysis
    • 招待講演
  • [学会発表] Bernstein型問題の研究の最近の進展について2021

    • 著者名/発表者名
      川上裕
    • 学会等名
      東京理科大学理工学部数学科談話会
    • 招待講演
  • [学会発表] Lorentz-Minkowski空間における平均曲率に関するHeniz型評価について2021

    • 著者名/発表者名
      川上裕
    • 学会等名
      九州大学幾何学セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] Recent advances in Bernstein-type problems2021

    • 著者名/発表者名
      川上裕
    • 学会等名
      第87回金沢解析セミナー
  • [学会発表] Bernstein型問題の歴史と最近の発展2021

    • 著者名/発表者名
      川上裕
    • 学会等名
      福岡大学幾何学セミナー
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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