研究課題/領域番号 |
19K03468
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
與倉 昭治 鹿児島大学, 理工学域理学系, 名誉教授 (60182680)
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研究分担者 |
中岡 宏行 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (90568677) [辞退]
石田 裕昭 鹿児島大学, 理工学域理学系, 助教 (00722422)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 双変理論 / 導来代数幾何学 / algebraic cobordism / correspondence / rational homotopy theory |
研究実績の概要 |
主に代表者について記載する。 (1)T.Annala氏(プリンストン高等研究所)との共同研究で、代表者による普遍双変理論 (Internat. J. Math.、2009) の構成方法とLowrey-Schuergのderived algebraic cobordism (J. Inst. Math. Jussieu、2016)の構成方法を用いて、Lee-Pandharipande (JEMS. 2010)のベクトル束のalgebraic cobordismの双変理論版を構成した共著論文は国際雑誌に掲載されることになった。(2)A. Libgober氏(イリノイ大学)との共同研究で、空間のn重積空間のホモトピー群のポアンカレ多項式はホモロジー群のポアンカレ多項式より小さくなる自然数nが存在することを証明し、更にホモトピー群の階数はホモロジー群の階数を越えないというHilali予想を仮定すると、この自然数nの最小値は3以下であること等を証明した。2つの論文は国際雑誌に掲載された。(3)Fulton-MacPhersonの双変理論では所謂Riemann-Roch公式が重要な公式である。代表者による普遍双変理論についてのRiemann-Roch公式について纏めた論文は国際雑誌に掲載された。(4)Handbook of Geometry and Topology of Singularitiesの編集委員より執筆依頼を受けて書いたモチビックHirzebruch class及び関連する話題(双変理論など)についての論説(100頁)は査読を受けて、掲載されることになった。 (5)分担者である石田氏の、モーメント写像と葉層構造を用いたSU(3)上の左不変でない複素構造に関する論文、及びHirzebruch曲面束の強コホモロジー 剛性等に関する論文は、国際雑誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Annala氏との共著論文及び代表者の普遍双変理論 に関するRiemann-Roch公式の論文、及び1990年に予想されて以来未解決であるHilali予想に関連する2編の論文(Anatoly Libgober氏との共著)などが、国際雑誌に掲載されることになったことは、本研究課題で取り上げた内容が一定の評価を得たものと判断する。なお、Hilali予想を仮定すると、空間のn重積空間のホモトピー群のポアンカレ多項式はホモロジー群のポアンカレ多項式より小さくなるような自然数nの最小値は3以下であることを証明したが、もし、この「自然数nの最小値」が4以上であるような空間の例が構成できれば、Hilali予想の反例となるので、この研究は意義あるものであると判断する。また、分担者である石田氏の研究については、トーリック多様体の強コホモロジー剛性問題に進展があったことは思いがけない収穫であった。
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今後の研究の推進方策 |
Annala氏との共同研究の成果を、correspondencesを用いた、若干異なるbivariant theoryを構成することを考えたい。また、Hilali予想に関連する2編の論文(Anatoly Libgober氏との共著)は、ある意味でHilali予想を少し深化させた結果であるが、今後さらに考察したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により、参加を予定していた研究集会のほとんど全てが中止あるいはオンラインでの開催となったため、また、海外からの招聘ができなかったため、予定していた予算は執行できなかった。使用計画としては、研究を推進すべく、関連する研究集会などへの出席、或いは海外の研究所等で研究滞在をし、情報収集並びに共同研究・研究連絡などを行う。
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