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2021 年度 実施状況報告書

非正曲率空間の粗幾何学の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 19K03471
研究機関東京都立大学

研究代表者

深谷 友宏  東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (40583456)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード非正曲率空間 / 幾何学的群論 / Busemann空間
研究実績の概要

尾國新一氏との共同研究により,非正曲率を持つ単連結完備リーマン多様体の,粗幾何学における対応物として「粗凸空間」という距離空間のクラスを定義した.この粗凸空間の幾何学を詳しく調べて発展させることが本研究の目標である.

この粗凸空間の典型例として,CAT(0)空間やより一般にBusemann空間がある.例えばl_p空間のうち,p=2,すなわちl_2空間はCAT(0)空間であり,1より真に大きい有限のpに対してl_p空間はBusemann空間である.

今年度はこのBusemann空間の直積分解について考察した.CAT(0)空間Xが平行な双無限測地線によって覆われているとき,Xのある凸部分空間Yが存在して,XはYと実数直線との直積に等長に分解することが知られている.このことからCAT(0)空間への群作用に関する様々な固定点定理が導かれている.このようなCAT(0)空間の分解定理の証明の鍵となるのは,凸部分空間への最近接点射影であるが,Busemann空間の場合はこの写像の振る舞いが制御できないので,CAT(0)空間のような分解定理はこれまで知られていない.この問題に関して,最近接点射影の代わりにBusemann関数を使うことにより,Busemann空間の場合の位相的分解定理を得た.より具体的には,空間Yに相当するものは,与えられたBusemann空間Xの凸部分空間としては実現できないが,Yを平行な双無限測地線の集合とし,Hausdorff距離を備えるとY自身がBusemann空間になることを示した.そしてXがYと実数直線との直積に同相であることを示した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

非正曲率を持つ空間の重要なクラスであるBusemann空間に対して,位相的分解定理を得ることができた.

今後の研究の推進方策

今回得られたBusemann空間の位相的分解定理の,群作用の固定点性質への応用を探る.この位相的分解定理は,CAT(0)空間の場合に知られている分解定理よりも弱い主張である.CAT(0)空間の場合のような強力な分解定理が一般のBusemann空間成立することはあまり期待できないので,強い意味での分解定理が成立するようなBusemann空間に対する適切な仮定を探索する.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス蔓延により、参加を計画していた研究集会が中止もしくはオンライン開催となり、旅費を使用しなかったため。

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公開日: 2022-12-28  

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