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2021 年度 実施状況報告書

トーラス群作用の幾何,トポロジーと組合せ論

研究課題

研究課題/領域番号 19K03472
研究機関大阪市立大学

研究代表者

枡田 幹也  大阪市立大学, 大学院理学研究科, 特任教授 (00143371)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードトーリックトポロジー / トーラス軌道 / Hessenberg variety / 凸多面体 / 置換
研究実績の概要

[1] Eunjeong Lee氏および Seonjeong Park氏とトーラス軌道の研究を数年来続けている.これに関して,本年度は次の3つの内容の論文を執筆した.
(1)Richardson varietyは,Bruhat 順序でv<wとなる2つの置換v,wから定まる旗多様体の部分多様体である.その中のある族が,多角形の三角形分割から得られることが分かった.またそれらの同型類の個数が,Wedderburn-Etherington数と呼ばれる数と一致することを見出した.
(2)Schubert variety でトーラス群作用の複雑さが1のものの特徴づけを幾つか与えた.複雑さが0のものはトーリック多様体となるもので,これは比較的よく分かったいるので,その次のケースを調べたものである.
(3)旗多様体のトーラス軌道のトポロジーと組合せ論に関して,これまで知られている結果に加えて,我々の数年来の研究結果を論文としてまとめた.Handbookの1つの章として出版予定.
[2] Anton Ayzenberg氏および佐藤敬志氏と,正則半単純ヘッセンバーグ多様体のコホモロジーをGKM理論を用いて調べた.まず,対称群の表現としての2次のコホモロジーの具体的記述を得た.これに関しては,T.Chowが組合せ論の観点から,Cho-Hong-Leeが幾何的観点から既に調べているが,我々はGKM理論を用いたもので彼らとは手法が異なる.さらに,その結果を基に,コホモロジー環が2次の元で生成されるためのヘッセンバーグ関数の必要十分条件を得た.ヘッセンバーグ関数に付随するグラフの言葉では,(double) lollipop と呼ばれるものである.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

ある種のトーリックRichardson variety が,多角形の三角形分割という簡単な対象から決まり,その同型類の数え上げに,古くから知られている Wedderburn-Etherington数が現れるたのは,全く予想しなかった事実であった.

正則半単純ヘッセンバーグ多様体のコホモロジー環に関しては,環が次数2で生成されるヘッセンバーグ関数が,組合せ論の観点から現れる Lollipop グラフと本質的に同じであることが分かったが,これも予期しなかった事実であった.

今後の研究の推進方策

Lee氏, Park氏との共同研究テーマである旗多様体のトーラス軌道の閉包に関しては,未解決問題が山積みで,今後も共同研究を続ける予定である.まずは,トーリックSchubert variety の分類を一般のリー型で完成させる.
Ayzenberg氏,佐藤氏との共同研究のテーマである正則半単純ヘッセンバーグのコホモロジーに関しても,未解決問題が山積みで,今後も共同研究を続ける予定である.究極の目的は,Stanley-Stembridge予想の解決であるが,表現論の立場から導入され研究されている unicellular LLT多項式との関連も探りたいと思っている.

次年度使用額が生じた理由

コロナのため,出席を予定していた研究集会がすべてオンライン開催となったため,出張旅費としての支出がなかったため,次年度への繰越とした.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Cohomological rigidity for toric Fano manifolds of small dimensions or large Picard numbers2022

    • 著者名/発表者名
      Akihiro Higashitani, Kazuki Kurimoto, Mikiya Masuda
    • 雑誌名

      Osaka J. Math.

      巻: 59 ページ: 177-225

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Torus orbit closures in flag varieties and retractions on Weyl groups2022

    • 著者名/発表者名
      Eunjeong Lee, Mikiya Masuda, and Seonjeong Park
    • 雑誌名

      Inter. J. Math.

      巻: 33 ページ: 2250028-1 21

    • DOI

      10.1142/S0129167X22500288

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] On Schubert varieties of complexity one2021

    • 著者名/発表者名
      Eunjeong Lee, Mikiya Masuda, and Seonjeong Park
    • 雑誌名

      Pacific J. Math.

      巻: 315 ページ: 419-447

    • DOI

      10.2140/pjm.2021.315.419

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] On descriptions of products of simplices2021

    • 著者名/発表者名
      L. Yu and M. Masuda
    • 雑誌名

      Chinese Ann. Math. Ser. B

      巻: 42 ページ: 777-790

    • DOI

      10.1007/s11401-021-0290-5

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] ヘッセンバーグ多様体とStanley-Stembridge予想2022

    • 著者名/発表者名
      枡田幹也
    • 学会等名
      代数的位相幾何学の軌跡と展望,~山崎正之先生退職祝賀研究集会~
    • 招待講演
  • [学会発表] Smooth toric Richardson varieties of Catalan type and Wedderburn-Etherington numbers2021

    • 著者名/発表者名
      枡田幹也
    • 学会等名
      数理解析研究所 New developments of transformation groups
  • [学会発表] Regular semisimple Hessenberg varieties whose cohomology rings are generated by degree two elements2021

    • 著者名/発表者名
      Mikiya Masuda
    • 学会等名
      Special session on Toric Topology at the KMS meeting
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Hessenberg varieties and the Stanley-Stembridge conjecture in graph theory2021

    • 著者名/発表者名
      Mikiya Masuda
    • 学会等名
      International School, Toric Topology and Combinatorics,Sochi
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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