研究実績の概要 |
本研究の成果として, 多項式写像の非固有点軌跡をニュートン図形を用いた手法で具体的に記述する手法がある. 雑に言えば,無限遠の点が写像で有限の点に移るときその点を非固有点とい うが,そのような点の集まりを非固有点軌跡という.多項式写像の非固有点軌跡は Jelonek (Z. Jelonek, Testing sets for properness of polynomial mappings. Math. Ann. 315 (1999), 1--35) に始 まる一連の論文)により研究され,例えば多項式写像 C^n → C^n の非固有点軌跡は単線織的であることがわかっている.ここで単線織的とはある代数多様体 X が存在し X × C と双有理同値とな るときをいう.我々の方法によるとかなり多くの場合,非固有点軌跡は線織的(X × C と双正則同値)であることがわかり,その X も具体的に与えることができる.例えば,多項式の対(x^2y^2+xy+y+1,x^2y+x+y+1)の定める多項式写像C^2→C^2については,そのニュートン図形はベクトル (-1, 1) の支持するニュー トン図形の面に載る項に着目し,式(f,g) = (x^2y^2 +xy+1,x^2y+x), g=0,から x,y を消去して得られる式 f = 1 が非固有点軌跡を定義することがわかる. 定式化(ここには正確には述べないが)を見れば多項式写像に対 し新たな非退化条件を提出した事になっている. 非退化条件は詳述しないが,上の記載に関連させる形で述べれば,上では原点を含まない面に制限した多項式の零点集合 x^2y +x = 0 を考えたが,それに対応するものが稠密な非特異軌跡を持つといった条件である.
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