研究課題/領域番号 |
19K03487
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
合田 洋 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60266913)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アレキサンダー多項式 / ねじれアレキサンダー多項式 / 行列重み付きグラフのゼータ関数 |
研究実績の概要 |
本年度は研究計画調書(概要)の研究目的(I)~(V)のうち,(I)「ねじれアレキサンダー多項式に1の冪根を代入した値のふるまい」,(II)「ねじれアレキサンダー多項式のねじれゼータ関数を用いた表示,ファイバー結び目の場合のねじれレフセッツゼータ関数を用いた表示」について研究を行った. (II)については結び目ダイヤグラムから得られるグラフに行列の重みを付けたものに対するゼータ関数という概念を用いてねじれアレキサンダー多項式を表示することに成功した.結果をまとめ,Twisted Alexander polynomial and Matrix-weighted zeta function という論文を執筆し,査読をへて,2020年2月にKyushu Journal of Mathematicsから出版することができた.その後さらに研究を進め,この行列重み付きグラフのゼータ関数を用いた結び目の体積表示を得ることができた.これらの研究結果を8月21日に神戸大学で行われた拡大KOOKセミナー,11月10日に中国成都で行われたトポロジーおよびその応用に関する第3回環太平洋国際研究集会にて発表した.また先行研究結果を含めた最近の研究内容を東京電機大学(10月29日)と東京理科大学(1月27日)の談話会で紹介した. (I)については,スペイン,フランスの数学者4名の共同研究によって先に研究結果を出されてしまった.内容は研究代表者の先行研究を拡張したものであり,ねじれアレキサンダー多項式に1だけでなく1の冪根を代入した値からも結び目補空間の体積が抽出できるというものであった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的(概要)に記した5つのステージ(I)~(V)のうち(I)については研究代表者の研究ではなく海外の研究者によってだがとにかく進展が得られた.(II)については研究代表者の昨年度の研究によりかなりの部分を解明することができ論文を出版することができた.現在,研究目的(概要)(III)の「結び目を平行化して得られる絡み目に対する多変数ねじれアレキサンダー多項式の研究」に従事している.これについては昨年度発表された日本人2名,海外研究者1名によるトーラス絡み目に関する共同研究が参考になることがわかりその内容を勉強中である.うまく研究につなげられればしかるべき結果が得られると考えている
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今後の研究の推進方策 |
上記7.現在までの進捗状況で記述したトーラス絡み目に関する先行研究をまず正確に理解したい.その上で,その先行研究を本研究課題に当てはめ応用を試みたい. コロナウイルス蔓延のため実施できるかどうかわからないが,6月上旬に九州大学にて「ねじれアレキサンダー不変量」というタイトルの集中講義を予定しており現在その準備を進めている.講義の最後に予定されている九州大学のトポロジーセミナーにて現在進行中の最新研究内容について発表しレヴューを受けるつもりである. 今年度はコロナウイルスにより研究集会での研究最新情報の収集や研究発表にかなり支障が出そうである.一方,その対策として遠隔授業やweb会議の設備が推進されているようなので,その設備を利用して研究打ち合わせや研究最新情報の交換ができるよう対応したいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度後半に予定されていた研究集会がコロナウイルス対策の為中止となり旅費が約4万円余った.今年度の旅費に充当したいと考えている.
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