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2021 年度 実施状況報告書

新たなる凸性を用いた曲率の特徴抽出と深化ー幾何解析への応用を目指してー

研究課題

研究課題/領域番号 19K03494
研究機関東京都立大学

研究代表者

高津 飛鳥  東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (90623554)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード固有値問題 / 熱流 / 凹性 / 曲率
研究実績の概要

正に曲がったリーマン多様体の固有値問題の比較原理において、モデルとなる空間は球面である。そして球面上の一様分布は、適切なスケール変換を施したのちに球面の次元を無限次元に飛ばすと、ガウス測度に収束する。このとき、球面の固有値はガウス空間の固有値に収束するのみならず、ガウス空間の全ての固有値は球面の固有値の極限として表されることが知られている。しかしガウス空間の非零固有値に対する固有空間の次元と対応する球面の非零固有値に対する固有空間の次元は一致しない。
申請者は、球面の固有空間の中で射影によって不変な部分空間が球面の次元を無限次元に飛ばしたときにガウス空間の固有空間に収束すること、および、ガウス空間の全ての固有空間は球面の固有空間の中で射影によって不変な部分空間の極限として表されることを示した。応用として、適切な初期値に対する球面上の熱流が、球面の次元を無限次元に飛ばしたときに、ガウス空間上の熱流に収束することを示した。さらに固有空間に関する結果を、球面上の開円板上のディリクレ固有値問題とガウス空間上の半空間のディリクレ固有値問題に対する結果へと拡張した。これらは論文にまとめ投稿し、アクセプトされ、現在、出版待ちである。
また、ユークリッド空間におけるディリクレ熱流の凹性保存則に関する研究を、昨年度以前同様に東京大学の石毛和弘氏とフィレンツェ大学のPaolo Salani氏とともに進めている。昨年投稿した論文2件はアクセプトされた後に出版され、また2022年度年会で講演した内容については、現在論文執筆中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り、熱流に関する幾何解析、とくに形状保存則に関する解析を東京大学の石毛和弘氏とフィレンツェ大学のPaolo Salani氏とともに進めている。また、情報幾何に関する考察、とくにダイバージェンス(相対エントロピー)に関する解析を名古屋工業大学の松添博氏と進めている。

今後の研究の推進方策

熱流の保存則で表れる凹性は、情報幾何におけるダイバージェンスを導く。
今までの研究において、熱流の保存則に表れる凹性を決定し、そしてダイバージェンスが導く情報幾何構造を解析した。
そこで今後の研究では、熱流の保存則で表れる凹性を最適輸送理論の観点から考察し、そして付随するダイバージェンスの最適輸送理論に関する幾何構造、特に曲率に関する性質を究明することを目指す。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の影響でいくつかの国際研究集会が延期になったため、また、対面による研究議論が思うように行えなかったため。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Universita degli Studi di Firenze(イタリア)

    • 国名
      イタリア
    • 外国機関名
      Universita degli Studi di Firenze
  • [雑誌論文] New characterizations of log-concavity via Dirichlet heat flow2022

    • 著者名/発表者名
      Ishige Kazuhiro、Salani Paolo、Takatsu Asuka
    • 雑誌名

      Annali di Matematica Pura ed Applicata (1923 -)

      巻: 201 ページ: 1531~1552

    • DOI

      10.1007/s10231-021-01168-5

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Power concavity for elliptic and parabolic boundary value problems on rotationally symmetric domains2022

    • 著者名/発表者名
      Ishige Kazuhiro、Salani Paolo、Takatsu Asuka
    • 雑誌名

      Communications in Contemporary Mathematics

      巻: 24 ページ: -

    • DOI

      10.1142/S0219199721500978

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Change the coefficients of conditional entropies in extensivity2021

    • 著者名/発表者名
      Takatsu Asuka
    • 雑誌名

      Journal of Mathematical Physics

      巻: 62 ページ: 103305~103305

    • DOI

      10.1063/5.0038164

  • [学会発表] 熱流における関数の凹性保存法2022

    • 著者名/発表者名
      高津飛鳥
    • 学会等名
      2022年度日本数学会年会
  • [学会発表] Spectral convergence of high-dimensional spheres to Gaussian spaces2022

    • 著者名/発表者名
      Asuka TAKATSU
    • 学会等名
      New Trends in Nonlinear Diffusion: a Bridge between PDEs, Analysis and Geometry,
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] Asuka Takatsu's Home Page

    • URL

      https://sites.google.com/site/asukatakatsu/home

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公開日: 2022-12-28  

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