研究課題
拡張結び目の幾何的構造の究明、不変量の性質の解明、不変量を含めた新たな研究手法の確立、結び目や曲面結び目の研究への応用手法の構築が本研究の目的である。仮想結び目は、結び目を平面に射影して2重点に上下の情報を与えた図形である結び目ダイアグラムに仮想交点を加えた拡張結び目である。幾何的には厚みのある向きづけ可能な曲面内の結び目の安定同値類に対応している。仮想結び目の概念を拡張したtwisted knotは厚みのある向きづけ不可能な曲面内の結び目の安定同値類に対応している。本研究で主に次の成果が得られた。仮想結び目の2つのalmost classical化写像の構築に成功した。仮想結び目に自然に拡張することができない結び目の不変量にGoeritz不変量あるが、このalmost classical化写像によって、2種類のGoeritz不変量を仮想結び目に導入し、それらの応用例を示した。これらのGoeritz不変量の性質を検討し成果を得ている。さらに、このGoeritz不変量の1つは溶接結び目の不変量であることを示した。溶接結び目は4次元内のリボン絡み目と対応しており、曲面結び目の研究への応用へ結びつく。このalmost classical化写像は不変量によらない仮想結び目の解析手法への応用の可能性がある。仮想絡み目、溶接絡み目、twisted linkのダイアグラムの性質を調べ、古典的絡み目と溶接絡み目のダイアグラムの持つある性質が、仮想結び目とtwisted linkダイアグラムは持っていないことを示した。最終年度はtwisted knotと仮想結び目の不変量を研究した。仮想結び目の不変量であるn-writheを鎌田聖一氏とともに拡張した。さらにtwisted knotダイアグラム特有のbarの情報を反映したtwisted knotの不変量を導入した。
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Diagrams realizing prescribed sublink diagrams for virtual links and welded links 鎌田直子 The KOBE JOURNAL of MATHEMATICS
巻: 40 ページ: 57-68