研究課題
昨年度の研究で位数2の共役ねじれ元をもつような結び目群を完全に決定したが、この結果を一般の3次元多様体の基本群に拡張した。この結果は専門誌に投稿中である。Dehn手術の代数的な側面からの研究として、Property Pを出発点にDehnフィリングと結び目群の関係に関する研究を進めた。Property P予想は非自明な結び目の非自明なDehn手術で単連結な3次元多様体は生じないことを主張するもので、ポアンカレ予想とも深い関係をもっており、KronheimerとMrowkaによって解決されるまで当該分野を牽引する重要な役割を担っていた。Property P予想を結び目群での文脈で捉え直すことでさまざまな言い換えが可能である。双曲結び目群の元に対して、その元を自明化するDehnフィリングは高々有限個であることがこれまでの研究で明らかになっている。結び目群の与えられた元を自明化するDehnフィリングを全て決定することはほぼ不可能である。一方、Property Pはメリディアンを自明化するDehnフィリングは自明なものに限ることを主張している。そこで本研究では、メリディアンのように自明なDehnフィリングでしか自明化されない元に着目して、そのような元が共役の差を無視して無限個存在することを証明した。この結果はメキシコでの国際研究集会を初め複数の研究集会で発表し、論文を現在準備中である。また、4次元結び目種数のねじり操作の元での振る舞いに関するBaker氏との共同研究の結果を応用して、結び目解消数のねじり操作の元での振る舞いについて研究を進めた。Dehnフィリングのアイディアを活かして結び目解消数のねじり操作の元での漸近挙動を完全に決定することができた。この結果については、国際研究集会で発表し、論文を投稿中である。
すべて 2024 2023 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件)
Springer Proceedings in Mathematics & Statistics
巻: - ページ: -
Sugaku Expositions, Amer. Math. Soc.
巻: 36 ページ: 1-33
10.1090/suga/473
Bull. London Math. Soc.
巻: 55 ページ: 1203-1209
10.1112/blms.12784
Hiroshima Math. J.
巻: 53 ページ: 345-358
10.32917/h2022015