研究課題/領域番号 |
19K03504
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
砂田 利一 明治大学, 研究・知財戦略機構(中野), 研究推進員 (20022741)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 準結晶 / 一般化されたリーマン和 / ポアソンの和公式 |
研究実績の概要 |
本研究では、検索エンジン、産業連関、コミュニケーション・ネットワーク、マルコフ連鎖、離散群など、様々な応用数理分野や純粋数学分野に登場する離散構造について、幾何学的アイディア(特に大域的解析学のアイディア)を用いて研究を行う「離散幾何解析学」の1部門である数学的結晶理論の構築を続行し、ダイヤモンドと同じ種類の対称性(強等方性)を有する「ダイヤモンドの双子」の詳細な構造を調べる中で、半単純リー群の分類に登場する既約なルート格子の一般化である直交対称な格子の概念を定式化、特に3次元の場合、3種の格子に分類されることを見出した。これら3種は、そのいずれの対称群も八面体群である立方体、正八面体、立方八面体に対応している。この結果は、東京大学駒場キャンパスで開催された第1回日本数学会賞小平邦彦賞の授賞式における受賞講演、およびドイツのドレスデン工科大学の物理学コロキウム(6月、物理学科のInosov教授による招聘)において発表した。 算術的準結晶の研究では、ピタゴラス数の漸近挙動の研究に引き続き、不定方程式x^2+xy+y^2=z^2の自然数解であるアイゼンシュタイン数(x,y,z)に付随する離散集合がポアソン型の準結晶であることを証明した。その応用として、一般化されたリーマン和を通してアイゼンシュタイン数の漸近挙動を求めることに成功した。これらの結果は、金沢大学で開催された数学会秋季分科会において発表した。 この他に、宇宙の「形」を知ろうとする人類の知的活動を中心におき、メソポタミア、古代インド、古代中国の神話、プラトン、アリストテレスによる神学的哲学的考察の歴史から出発して、リーマンの多様体論、アインシュタインの一般相対論に至る幾何学の歴史的発展に関する論文「From Euclid to Riemann and beyond」を著わした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要にも記したように、アイゼンシュタイン数に付随する準結晶に関する研究はおおむね完成し、現在はさらに一般の算術的準結晶の理論の定式化に努力している。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、2013年にSpringerから出版した「Topological Crystallography」の第2版のための執筆を行っている(発行は来年度)。第2版では、数学的結晶理論に加えて上記のダイヤモンドの双子と算術的準結晶に関する新しい知見を付け加える予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響のため、支出予定額に若干の差異が生じた。
|