研究実績の概要 |
本年度は4次元ユークリッド空間内のジェネリックで共形平坦な超曲面について陶山芳彦氏と共同研究を行った。先行研究 (DOI:10.1007/s11425-020-1761-9, DOI:10.2969/jmsj/07027420, http://projecteuclid.org/euclid.ojm/1364390417) によってこのような超曲面は局所的にはある曲面(以下これを主曲率曲面という)の発展として得られることが知られているが、負の定曲率計量が主曲率曲面を生じさせることに鑑み、本研究では上半平面上の双曲計量を平面上の退化計量とみなしてそこから決まる主曲率曲面の構造を調べた。その結果、主曲率曲面の各座標曲線の大域的な挙動が明らかになり、特に、計量が退化する点をこえて主曲率曲面が解析的に延長されることがわかった。またこれらの結果を可視化するにあたり、主曲率曲面の枠場を近似する差分方程式系を導出し、その収束についても議論した。これらの研究成果は現在プレプリントとして公開中 (arXiv:2301.12128) である。このほか、本研究課題では研究期間全体を通じて、おもに離散微分幾何の観点から離散曲線や離散曲面の構成方法について検討したが、それらの研究成果はおおむね離散キルヒホフ弾性棒の明示公式(川久保哲氏との共同研究)に集約される。これは3次元ユークリッド空間内の離散キルヒホフ弾性棒の中心線と物質枠をいずれも楕円テータ関数を用いて具体的に構成したもので、現時点では速報的な性格の論文 (http://hdl.handle.net/2433/281550) が出版済みだが、近く、より精密化したものを執筆予定である。
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