研究課題/領域番号 |
19K03509
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
小島 武夫 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (80307800)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 変形W代数 / 超代数 sl(M|N) / 自由場表示 / スクリー二ング・カレント / Quadratic relation / 可積分系 / W代数 / 超対称性 |
研究実績の概要 |
変形W超代数Wqt(sl(2|1))の自由場表示を構成した。さらに、この自由場表示を活用することで、生成元の満たす Quadratic relation を導いた。この Quadratic relation は変形W超代数の定義関係式を与えると予想される。 スクリーニング・カレントと変形W超代数Wqt(sl(2|1))が up-to total difference で可換になるという条件から、スクリーニング・カレントの自由場表示を構成した。スクリーニング・カレントを活用して変形W超代数の first generating function T_1(z) の自由場表示を構成した。この構成法のアイデアは Ding-Feigin, Contempo.Math.(1998)によるものであるが、Ding-Feigin (1998)の自由場表示には幾つかのミスがあり、生成元のQuadratic relationは得られない。彼らのアイデアが正しいことを、具体的な計算で検証したわけである。超代数のCartan行列はゼロの成分が多いため、単純リー代数gの場合のように、Cartan行列の2パラメータ変形からスタートして変形W代数 Wqt(g)の自由場表示を構成するという手法を拡張するのが容易ではない。本研究のようにスクリーニング・カレントを出発点とすると扱いやすいのである。First generating function およびその正規積をもとに、変形超代数Wqt(sl(2|1))の高階のgenerating function T_i(z) の自由場表示を導入した。さらに、それらの満たす Quadratic relationを導いた。 現在、これらの結果の高ランク版 Wqt(sl(M|N))の自由場表示の構成と Quadratic relation の導出を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
変形W超代数Wqt(g)の構成について、最も基本となる例 sl(2|1)で突破口が開けた。これによりリー超代数gに付随する変形W超代数 Wqt(g)の構成に取り組むことができる。「スクリーニング・カレントと変形W超代数Wqt(sl(2|1))がup-to total difference で可換になるという条件から、スクリーニング・カレントの自由場表示を構成し、その応用として、変形W超代数のfirst generating function T1(z)の自由場表示を構成する」というアイデアは、もともとは Ding-Feigin, Contempo.Math.(1998)によるものである。しかし、彼らの論文の自由場表示にはミスがあったため、Quadratic relationは導けなかった。そのため、彼らのアイデアが有効なのかすら分からなかった。今回その正しさが明確になったことで、同様の方法で、超代数に付随する変形W代数をすべて構成できるであろうことが予想される。Quadratic relationを自由場表示から導く方法についても理解が深まった。単純リー代数に関しても、ほとんどの場合に未解決である Quadratic relation の導出にも取り組む足掛かりができた。
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今後の研究の推進方策 |
まず、2019年度に構成した sl(2|1) に付随した変形W超代数の理論を高ランクに拡張する。具体的には、スクリーニング・カレントと変形W超代数 Wqt(sl(M|N))の自由場表示の構成と、それを応用することによる変形W超代数の Quadratic relation の導出である。ついで、変形W代数 Wqt(D_N^(1))の Quadratic relation の導出である。変形W代数 Wqt(D_N^(1)) の自由場表示に関しては、Frenkel-Reshetikhin, Commun.Math.Phys. (1998) において導入されている。これを応用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの影響で海外出張をとりやめたため。
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