研究実績の概要 |
量子W超代数の構造を自由場構成から研究し、可解模型の厳密解を明らかにするという研究テーマであるが、ここ数年は、特に量子W超代数の Quadratic relations を明らかにすることを主な目的に研究を進めている。この Quadratic relations により量子W超代数を生成元と定義関係式により定めることができる。 前年度までに量子W超代数 W_{q t}(sl(2,1))の Quadratic relations を導出していたが、本年はさらに一歩すすめて、高ランクの量子超代数 W_{q t}(A(M,N))の自由場表示を、Ding-Feigin構成法により構成し、それを活用して Quadratic relations を導いた。無限個の W-currents によって閉じる無限個の式の組であるところが、超代数における新しい点である。 また超代数のDynkin 図形の選び方はユニークではなく不定性があるが、この Quadratic relations は Dynkin 図形の選び方に依存しないことを証明した。この結果を arXiv(2101.01110[math.QA]) に発表し、現在学術雑誌で査読中である。 A^{(1)}(M,N)型超代数の対称性を追求するという当初の予定であったが、より幅を広げ、Self-dual twisted affine algebra A_2N^(2)に付随した量子 W 代数についても Quadratic relations 考察し、ランクが低い場合(N=2,3,4)についてそれを導出した。現在、高ランクへの一般化を行っている。
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