自由確率論はランダム行列などのサイズ極限における極限スペクトル分布に現れる関係をよく記述する道具として確率論では馴染み深い。本研究はその中でも分布間の関係を詳細に理解することを目的としており、その意味では近年数論などの純粋数学以外にも量子物理や統計物理をはじめとした物理学、通信理論、ファイナンス理論、機械学習理論など様々な分野で応用されているランダム行列理論に貢献することが期待できる。また他方で、無限分解可能分布と呼ばれるクラスは確率論でもレヴィ過程などの構成で基本的なクラスであるが、自由確率論でも同じような考え方ができ、ダイナミクスを表現するものの基本的な考えで意義があると考えている。
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