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2020 年度 実施状況報告書

Erdelyiサイクルの高次元化とその交叉数から捉える超幾何函数の接続問題

研究課題

研究課題/領域番号 19K03517
研究機関大阪大学

研究代表者

三町 勝久  大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (40211594)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード複素解析的線形微分方程式 / 超幾何函数 / 接続問題 / Erdelyi サイクル / 交叉数 / Appellの超幾何函数 / Lauricellaの超幾何函数 / ねじれサイクル
研究実績の概要

(1) AppellのE_1方程式に関する接続問題:AppellのE_1方程式(ランク3)の場合,方程式の定義域の実への制限を考えると16個の単連結領域が現れるが,このそれぞれの単連結領域における接続関係(ひとつの単連結領域をさだめても,そこで成立する接続関係は複数個ある)を求めた.このためには,特異集合が正規交差する点の近傍における解の基本系,特異集合が3本交差する点の近傍における解の基本系を確定することが第一にすべきことであるが,それぞれの解の基本系を与える解のうち2つは通常のサイクル上の積分が与え,1つはErdelyiサイクル上の積分が与えるということが分かった.そして,これらを用いた第二段階では,交叉数を用いた計算により接続係数を具体的に用いた.その計算には,いままで用いたことのない(見たことの無い)計算式が必要であったが,結果的には上手く工夫することで計算できた.そして,さらに,このようにして求められた接続関係式達の関係を求めた.特異(点)集合を越えた異なる単連結領域における接続関係同士の関係を明確化することによって,可解格子模型などに現れるYang-Baxter方程式の根拠が明確になった.

(2) LauricellaのE_D方程式に関する接続問題:(1)で得られたE_1方程式の場合の知見を活かして,一般のE_D方程式に関する接続問題で,さらなる解ける具体例を増やすべく研究を行ったが,これに関しては,第一段階の解の基本系の構成の研究に留まっている(まだ,徹底的な理解には至っていない).

(3) LauricellaのE_A方程式に関する接続問題:昨年度に得た公式を定式化する際のサイクルの扱いについて不満足な点があるので,それを解決すべく研究を行ったが,まだ,満足な解答は得られていない.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

概要で述べた通り,着実な研究成果を得ており,次年度以降の研究も順調に推進できるものと考えている.研究費運用に関しては,コロナ禍ゆえに出張による旅費の支出はまったくできなかったが,書籍の購入などについては計画通りの合理的な支出を行っていると判断した.次年度以降も,コロナに関係した社会情勢の推移を見極めながら,継続した研究費運用により,有効な成果が期待できるものと考えている.

概要に示した通り,AppellのE_1方程式の解の接続関係式を求めることに関して,調べれば調べるほど,その基盤の脆弱性が明らかになり,さらに基本に立ち戻って考え直すということを繰り返した一年であった.思いの他,時間を要してしまったが,それだけ,理解が欠けていた部分だったということでもあり,それの理解を埋めたということは充実感が得られる内容であったということでもある.地味であるが,今後の進展のためには重要なステップだったと思う.

以上を総合的に捉えて,おおむね順調に進展していると判断した.

今後の研究の推進方策

(1) AppellのE_1方程式の場合は,いまやるべきことは,ほぼやったと思える状態であはあるが,落ち着いたころに考え直すと新たな問題がみつかるかもしれないので,適宜,反省しなおすことは続ける.(2) LauricellaのE_D方程式の場合は,AppellのE_1方程式の場合での知見を参考に,沢山の場合の接続問題を解くことを本格化させる.ただし,一般のnの場合は,E_1の場合とは異なって,しらみ潰しに調べるという方針は正しくないように思っている.むしろ,生産性のある重要な場合は,どのような場合かということを特定すること自身が重要な問題になるだろうと考えている.いずれにしても,まずは,何らかの解の基本系を構成することから始めねばならない.(3) LauricellaE_A方程式に関する接続問題:サイクルの扱いについての不満足な点を解決すべく研究を行う.これに限らず,サイクルに関する知見をもっと深めたい.そして,それを活用して,解けた接続問題の具体例を増やしたい.(4) AppellのF_4関数のサイクルについては,昨年度にある程度の理解が出来たのだが,その定式化の際のサイクルの扱いには,まだ,不満足な点,理解不足な点がある.引き続き,この理解に向けた努力を行いたい.関連する接続問題も考えたい.(5) 昨年度のパドヴァでの研究会で刺激を受けたコホモロジーに関する交叉数の研究については,その後も,いろいろ調べてはいるが,まだこれといった発展は出来てない.来年度も引き続き,それらの理解にむけて努力したい.(6) Macdonald関数に関連する接続問題に着手する.

次年度使用額が生じた理由

支出予定額の殆どが旅費として計上されていたが,コロナ禍のため出張による旅費の支出がまったくできなかったことがその理由である.今年度中に状況が緩和され次第,支出を再開する予定である.

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公開日: 2021-12-27  

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