研究実績の概要 |
本研究の目標はGauss の超幾何函数とその合流型函数の一般化としてGel’fand と申請者によって導入されたGrassmann 多様体 Gr(2,N) 上の一般超幾何函数の 積分表示をHermite行列積分の形で拡張し,これらを統御する holonomic系の構築と非線形可積分系との関係を明らかにし, Lie 群論(対称錐の幾何)の視点か ら特殊関数論 を構築することとしている。 今年度は,Gelfandの超幾何をRadon変換の立場から拡張したRadon超幾何函数の理論を構築する時に自然に行き当たる幾何学的な問題を考察した.それはGrassmann多様体Gr(r,n)におけるr次超曲面の配置の問題で,これは射影空間における超平面配置について”超平面配置が正規交差である条件を保ちながら動くための条件を決める”という問題の一般化したものである.Gr(2,4)における5個の2次超曲面の場合にPlucker埋め込みを用いて結果を得たが,一般の場合は満足する結果は得られていない. Gelfandの超幾何については,その応用として,Gamma,Beta函数およびLauricellaの超幾何函数FA,FB,FDについての隣接関係のなすLie環を決定したが,その論文が出版された.
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