研究課題/領域番号 |
19K03525
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
柳 研二郎 城西大学, 理学部, 客員教授 (90108267)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 不確定性関係 / トレース不等式 / 正線型写像 / 作用素不等式 |
研究実績の概要 |
この科学研究費においては2つの目的があった.1つは従来の不確定性関係を表す不等式はHeisenbergの不確定性関係やSchrodingerの不確定性関係などのように積型のものがほとんどであるが、これを和型のものや積型のものとは異なったものとして表せないかという基本的な疑問に基づいた問題提起である.もともと積型で表現される理由は証明でSchwarzの不等式を用いるためであるので、Schwarzの不等式を用いずにある種の不確定性関係を表す不等式が導けないであろうかということである.1つのヒントはノルムの満たす精密な不等式を導くという方法がある.三角不等式が有名であるが、この不等式はもっと精密化できると考えられている.それに関連した結果も多く得られているので、それらを参考にして新しいノルム不等式を取得したい.2つ目は従来の不確定性関係を表す不等式は概してトレース不等式であるが、これをトレース型正線型写像に拡張すればどのような形の不等式が得られるであろうかという問題提起である.不等式の形は成分が作用素であるようなある種の行列不等式に相当する.したがって二重構造をもつ作用素不等式としてとらえることができる.また作用素が可換か非可換かによって扱いが複雑になり用いる道具立ても異なってくる.さらに非トレース型正線型写像の場合はもっと予測不可能になり、困難になる. この2つの問題提起について限定的ではあるがある結果とその関係した結果が得られた.1つはトレース型と非トレース型を区別した場合の正線型写像に関する限定的な不確定性関係である.他は重み付き作用素平均に関する精密な不等式の構築である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していたトレースをトレース型正線型写像と非トレース型正線型写像の場合に拡張して不確定性関係が限定的ではあるが得られた.特に非トレース型の場合においてはさらなる新しい不等式を模索している.また和型の不確定性関係については、ノルムに関する新しい不等式を継続して研究中である.
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今後の研究の推進方策 |
作用素不等式について様々な角度から継続して研究する計画である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの蔓延で、予定していた研究集会がほとんどすべて中止になったため出張を取りやめにせざるを得なくなり、2020年度の使用額に相当な余剰が生じた.2021年度に可能な限り出張をしたり、研究打合せ等を行い余剰分を解消する計画である.
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