研究実績の概要 |
我々の先行研究により,BC型Koornwinder多項式P(a,b,c,d|q,t)の超幾何級数的な明示公式は,一行型の重みを持つものについては,ある生成母関数の展開係数として定まる対称Laurent多項式G(x)を用いて構成され,一列型の重みを持つものについては,同様にして定まる対称Laurent多項式E(x)を用いて構成されることが分かっている. 一般の重みをもつKoornwinder多項式の明示公式の構成のため,現在,具体例のデータを収集しているが,計算機にかかる負荷が大きいためパラメタや重みを特殊化した多項式についてまず調べる必要があると考えている. 2019年度は,主にBC型Koornwinder多項式をC型的に退化させたKoornwinder多項式P(a,-a,c,-c|q,t)を扱うこととし,次の2つの明示公式の予想式を構成した: (1)鉤型の重みを持つツイストされたC型Macdonald多項式P(t^1/2,-t^1/2,(qt)^1/2,-(qt)^1/2|q,t)を,G(x)とE(x)の積で展開した展開係数の因子化された有理式での記述. (2)(Pieri公式) 一行型と一列型のP(a,-a,c,-c|q,t)の積を,鉤型の重みを持つP(a,-a,c,-c|q,t)で展開した展開係数の因子化された有理式での記述. 特に(2)が証明されれば,帰納的に鉤型の重みを持つC型的に退化させたKoornwinder多項式の明示公式が得られることに注意する.
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