研究課題/領域番号 |
19K03530
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研究機関 | 広島工業大学 |
研究代表者 |
星野 歩 広島工業大学, 工学部, 准教授 (30598280)
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研究分担者 |
白石 潤一 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (20272536)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 漸近自由固有関数 / 分規則 / Koornwinder多項式 |
研究実績の概要 |
Macdonald作用素の漸近自由な固有関数は,A_N型については野海-白石の結果[A DIRECT APPROACH TO THE BISPECTRAL PROBLEM FOR THE RUIJSENAARS-MACDONALD q-DIFFERENCE OPERATORS, arXiv:1206.5364v1]により構成されている.他の型については,例えば我々の結果[Branching rules for Koornwinder polynomials with one column diagrams and matrix inversion, SIGMA, (2020)]において,戸田極限(t->0)における漸近自由固有関数(以下,q-戸田関数と呼ぶ)についてB_N型をA_N-1型で展開した展開係数の明示式を予想した(分規則). 2020年度は,大久保,白石との共著論文(投稿中)において,A_N-1型のq-戸田関数の隣接関係式(contiguity relation)と展開係数が満たす漸化式を用いることでこの予想を証明した.これはB_N型Macdonald多項式の明示公式を得る基礎となる. また,Koornwinder作用素について,Fock空間上に作用するHeisenberg代数を用い1階の作用素の自由場表示を構成した.応用として,Macdonald多項式の核関数と双対核関数の積についての核関数関係式を計算した.この関係式を用いると,2019年度に予想した鉤型の重みを持つツイストされたC型Macdonald多項式P(t^1/2,-t^1/2,(qt)^1/2,-(qt)^1/2|q,t)についての予想式が証明される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度に次の2つについての明示式を予想した:1.鉤型の重みを持つツイストされたC型Macdonald多項式について,核関数と双対核関数の積での展開係数,2.一行型と一列型Koornwinder多項式P(a,-a,c,-c|q,t)について,鉤型の重みを持つKoornwinder多項式P(a,-a,c,-c|q,t)での展開係数.1.についてはKoornwinder作用素の自由場表示の構成のもとで証明を得たが,これは二列型または二行型Koornwinder多項式の明示式構成の基礎となると考えられる.また,B_N型q-戸田関数のA_N-1型による展開係数の予想式の証明については,通常のB_N型Macdonald作用素の漸近自由固有関数の構成の基礎となり,Koornwinder多項式の明示式構成への手がかりとなる.
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に予想した,一行型と一列型Koornwinder多項式P(a,-a,c,-c|q,t)についての鉤型の重みを持つKoornwinder多項式P(a,-a,c,-c|q,t)での展開係数の明示式の証明を実施する.証明の方策として,まずパラメタを特殊化し,対象をC型Macdonald多項式として証明に取り組む.現在,階数が低い場合には証明に必要となるいくつかの補題を得ることができており,高階の場合への拡張を実施中である. また,Koornwinder作用素の自由場表示について,高階の差分作用素達の可換性は現時点では証明できておらず,こちらも現在研究を推進中である.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度購入したワークステーションについて,当初購入を予定していたベンダー製品の仕様変更により必要とするスペックを大幅に満たさなくなったため,購入先のベンダーを変更した.これに伴い,当初予定していたスペックよりやや劣るモデルを購入することになり,当初の予定より低い価格でのワークステーション購入となったため次年度使用額が生じた.この次年度使用額はワークステーションの増設メモリ購入等,ワークステーションの性能向上に充てることとする.
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