研究実績の概要 |
C型Macdonald多項式P(t^1/2,-t^1/2,(qt)^1/2,-(qt)^1/2|q,t)について,一行型と一行型の積を二行型で展開する明示公式(Pieri公式)はLassalleによって得られている.我々はC型的退化koornwinder多項式P(a,-a,c,-c|q,t)について,一行型と一列型の積を鈎型で展開するPieri公式の予想式を構成していた.本年度は準備中の論文において,パラメタをa=t^1/2, c=(qt)^1/2と特殊化して得られるC型Macdonald多項式P(t^1/2,-t^1/2,(qt)^1/2,-(qt)^1/2|q,t)の場合について,その予想式の証明に至った. Koornwinder多項式,特に本年度我々が扱っているC型Macdonald多項式は,一行型のものは,ある生成母関数の展開係数として定まる対称Laurent多項式G(x)を用いて構成され,一列型のものは,同様にして定まる対称Laurent多項式E(x)を用いて構成されることが先行研究において分かっている.我々は昨年度,鈎型C型Macdonald多項式P(t^1/2,-t^1/2,(qt)^1/2,-(qt)^1/2|q,t)をG(x)とE(x)の積で展開した明示公式を,鈎型koornwinder多項式が満たす核関数関係式を用いることで証明していたが(核関数関係式の証明には,我々が構成したKoornwinder作用素のFock表示を利用した),その結果と,G(x)とE(x)の積が満たす非自明な線形関係式やbibasicなq-超幾何級数の和公式,principal specializationと呼ばれるMacdonald多項式の特殊値の計算等を主に用いることにより,上記のPieri公式を証明するに至っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
C型的退化Koornwinder多項式やC型Macdonald多項式について,昨年度までに次の予想式を記述した. 1.鉤型C型Macdonald多項式P(t^1/2,-t^1/2,(qt)^1/2,-(qt)^1/2|q,t)を,G(x)とE(x)の積で展開した明示公式 2.C型的退化Koornwinder多項式P(a,-a,c,-c|q,t)について,一行型と一列型の積を鈎型の もので展開したPieri公式 昨年度は1.を,今年度は2.のパラメタを特殊化したC型Macdonald多項式P(t^1/2,-t^1/2,(qt)^1/2,-(qt)^1/2|q,t)についての証明を与えており,パラメタを特殊化しない予想式の証明へ向けて,準備が進んでいると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
C型的退化Koornwinder多項式P(a,-a,c,-c|q,t)について,一行型と一列型の積を鈎型で展開係数するPieri公式は,本年度証明したPieri公式の拡張となっており,その証明を与える.そのためには,G(x)とE(x)の積が満たす,パラメタa,cを含む非自明な関係式を構成する必要があり,現在,その構成が進行中である.
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