研究実績の概要 |
昨年度に引く続き、「作用関数の特徴づけ」すなわち「ある種の滑らかさを持つ関数の集まり(関数空間)をその性質を変えることなく、再びある種の滑らかさを持つ関数の集まり(関数空間)に移すような作用関数(関数または変換)は何か?」について研究した。 特に、今年度は H. G. Feichtinger 氏により導入された関数空間の一つであるモジュレーション空間 M^{p,q}_s(すなわち、短時間フーリエ変換がある種の可積分性と減衰度をもつようなユークリッド空間上の関数の集まりであり、p=q=2 の場合はよく知られるソボレフ空間 H^s と一致する関数空間)の特徴づけについて考察した。モジュレーション空間の作用関数の特徴づけについては、 Reich - Sickel(2016)や Kato - Sugimoto - Tomita(2020)で様々な十分条件が研究されているが、まだ完全に解決していない。今回は佐藤圓治名誉教授(山形大学)との共同研究で確立した「モジュレーション空間 M^{p,1} の特徴づけ」、「トーラス上の関数でそのフーリエ係数が重み付き数列空間 l^s_q に属するような関数の集まりにおける作用関数の特徴づけ」および「フーリエ・ルベーグ空間における作用関数の特徴づけ」で得られた方法が「モジュレーション空間M^{p,q}_s(q≠1, s≠0の場合)の作用関数の特徴づけ」に応用可能か検討した。結果として、モジュレーション空間上の作用関数の特徴づけにおいて重要な役割を果たすと思われる必要条件と十分条件を見つけた(佐藤名誉教授との共同研究)。
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