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2020 年度 実施状況報告書

バナッハ環における保存問題とジャイロ構造に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K03536
研究機関新潟大学

研究代表者

羽鳥 理  新潟大学, 自然科学系, フェロー (70156363)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード等距離写像 / ジャイロ構造 / バナッハ環
研究実績の概要

ジャイロ空間において,平均の研究をいくつか知られている。本研究ではアインシュタインジャイロ群における幾何平均に関する共同研究を行い,新たな平均を定義しそれが特殊相対性理論における速度の平均に対応したものであることを示した。その成果を論文によりSymmetryから公表した。バナッハ環上の等距離写像について,それが積やJordan構造を保存する現象についてWhen does an isometry on a Banach algebra preserve the multiplicative structure?のタイトルでPreserver Webinarにおいて招待講演を行った(ロンドン時間8月5日12時より13時)。関連するスライドや講演の録画画像はネット上で公開されている。バナッハ環における等距離写像について「バナッハ環上の等距離写像」のタイトルで2020日本数学会年会 企画特別講演において招待講演を行った。これはバナッハ環における等距離写像についてのサーベイ講演である。講演はzoomによる録画画像により公開された。Tigley問題について,内部関数が生成する関数環の場合には肯定的に解決できることについて研究成果が得られたので2020年度関数環研究集会で講演を行った。円板環や単位開円板上の有かい正則関数からなるバナッハ環(のゲルファント変換)をはじめとして正則関数からなるいくつかの重要な関数環が内部関数により生成されるという条件を満たすので,Tingley問題に対しては正則関数からなる空間に対する初めての肯定解についての結果を公表したことになる。講演はzoomにより行われた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ロンドンで行われたWebinarでの招待講演を行ったが,コロナ渦のなかで海外への渡航が困難でありまた国内での学会研究集会もzoomを中心としたバーチャルなものであったため直接研究者にあって協議する機会が得られなかった。一方で,多くの研究集会がネットを通して行われるため,簡単に国内外の研究者の発表に接することはできた。このような中で工夫して共同研究も行うこともできたが,直接会っての情報交換がほとんどできないことが研究の進展に少なからず負の影響を与えたものと思われる。Tingley問題に関してはその解決のためのアイデアに2局所写像の解決のためのものと共通のものがあることに気が付き,そちらの研究について新たな知見が得られつつあることはポジティブに評価できると考える。

今後の研究の推進方策

Tingley問題についてはC*環がMazur-Ulam propertyを満たすことが示されたことにより大きく進展した。また未解決であった2次元の場合について完全解決のプレプリントがarXiveから公表されるなど,Tingley問題研究が大きく進展している。Tingley問題はその解決の中で2局所写像の問題にもかかわっているように思われる。これはまだ具体的な結果がない状況である。リプシッツ環,特に各種バナッハ空間やバナッハ環に値をとるリプシッツ環の等距離写像についての研究をTigley問題の解決にむずびつけていくことが興味深く思われるため,そのような研究にも着手したいと考えている。Tingley問題に関しては,今年度は正則関数からなるバナッハ空間にたいする初めての結果を示すことができたので,さらに一般の関数環に対するTingley問題の研究を行って,そのMazur-Ulam propertyについて知見を得るべく研究を行う。GGV(generalized gyrovector space)に対するMazur-Ulamの定理はその局所化が成り立つことは本研究代表者らが示しているところであるので,GGVに対するTingley型問題についても自然な問題と考えられ今後の研究の方向として大きな可能性を秘めているので,検討することの一つとしたい。
コロナ渦の中でひとところに集まって行う研究集会の開催は内外問わずまだしばらくの間は難しい状況が続くと考えられるが,バーチャルな研究集会を通して内外の研究者の研究動向に注視しながら研究活動を行う。また個別に共同研究を行うことができれば,積極的に行っていきたい。
、

次年度使用額が生じた理由

当該年度の直接経費については予定では国内外で開催される研究集会などに参加するためのものであった。コロナ渦の中で出張することができなかった。一方、各種の研究集会がWeb経由で行われる機会が非常に増えてそのために機器の整備などに予算を支出した。しかしながら旅費に予定していた直接経費のすべてを使用することができなかったため、次年度使用額が生じた。次年度においてもコロナの状況が改善できないことも十分想定できるが、その場合においても国内外の研究者とWeb経由なので論文や数学的な書物を用いて研究打ち合わせなどを行っていきたい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] A Gyrogeometric Mean in the Einstein Gyrogroup2020

    • 著者名/発表者名
      Takuro Honma and Osamu Hatori
    • 雑誌名

      Symmetry2020

      巻: 12(8) ページ: 1--26

    • DOI

      10.3390/sym12081333

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] When does an isometry on a Banach algebra preserve the multiplicative structure?2020

    • 著者名/発表者名
      Osamu Hatori
    • 学会等名
      Preserver Webinar
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] バナッハ環上の等距離写像2020

    • 著者名/発表者名
      羽鳥 理
    • 学会等名
      日本数学会秋季総合分科会 企画特別講演
    • 招待講演
  • [学会発表] 関数上のTingley問題2020

    • 著者名/発表者名
      羽鳥 理
    • 学会等名
      2020年度関数環研究集会

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公開日: 2021-12-27  

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