研究実績の概要 |
最終年度では、全空間における熱核の sparse domination が得られ、それを用いて heat semigroup の smoothing estimates を一般的な重み付き Lebesgue 空間において得ることができた。従来では、power weight に対してはそのような評価はすでに知られていた。一般的な重みに対しては、函数空間の斉次性が無いことが1つの原因で知られていなかったかと思われる。そのような困難は, sparse domination により避けることができたことが大きい。ただし, 得られた重み付き評価は不十分なもので、さらなる議論は必要ではある。しかし、その不十分な部分を埋める事実が既に知られていることをごく最近知り、最良な形での熱核の smoothing estimates が得られるであろうと思っている。 本研究課題で得られたものを述べる. 1. 岡部氏 (阪大基礎工)との共同研究で、全空間Rnにおける非圧縮 Navier-Stokes 方程式を外力付きで考えた。Kato, Giga-MIyakawa により, 初期値の Ln-norm が小さければ大域解が構成できることが広く知られている。本研究では、初期値の Ln-rnom が小さくなくても、ある意味で滑らかであれば大域解が構成できることが証明できた。さらに, そのような初期値のclassの考察を行った。 2. 実解析学には積分平均が多用されるが、それの代替物として rearrangement や中央値が考えられる。積分平均の代わりにこれらを使うことにより、分数冪積分作用素の類似物が考えられ、Hardy-Littlewood-Sobolevの不等式の類似物が得られた。今後は、これをもとにSobolevの不等式を考えたい。
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