研究課題/領域番号 |
19K03543
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
貞末 岳 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (40324884)
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研究分担者 |
中井 英一 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (60259900)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | マルティンゲール / 分数べき積分 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、マルティンゲールの実解析学的側面、とくにマルティンゲール空間の構造や、その上の分数べき積分作用素・交換子の性質を解明することである。そして前年度までにマルティンゲール Besov-Triebel-Lizorkin 空間の構造研究が完成し、マルティンゲール Orlicz 空間上の一般化分数べき積分作用素の研究に着手した。 当該年度では、研究を進展させ以下の結果を得ている。 1.マルティンゲール Orlicz 空間上の一般化分数べき積分作用素と乗法作用素との交換子の有界性やコンパクト性を、マルティンゲール Triebel-Lizorkin 空間や一般化マルティンゲール Campanato 空間により特徴づける研究を完成させた。この研究においては一般化分数べき極大作用素の有界性が必要十分の形で得られているほか、一般化マルティンゲール Campanato 空間に対する John-Nirenberg 不等式が完全な形で得られ、それが交換子の有界性を得ることを可能にしている。そして前年度の成果であるマルティンゲール Triebel-Lizorkin 空間のよい応用を与えている。この研究は論文として Journal of mathematical analysis and applications 誌に発表した。 2.マルティンゲール分数べき積分作用素の研究を発展させ、Markov 半群に対する分数べき積分作用素の有界性の研究に着手した。そして部分的な結果として Orlicz 空間上の一般化分数べき積分作用素の有界性を得た。この結果は共同研究者の一人により研究集会で発表されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画のうち「種々のマルティンゲール空間上の交換子」は完成し、また当初計画にない Markov 半群に対する分数べき積分作用素の有界性の研究を行った。一方で「連続パラメータのマルティンゲールに対する Morrey 型空間」と「連続パラメータのマルティンゲールに対する分数べき積分作用素」については、コロナによるオンライン授業等で教育へ注力せざるを得ず、部分的な結果を得るにとどまってしまった。総じていえば、やや遅れていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
「連続パラメータのマルティンゲールに対する Morrey 型空間」については、ここまで基礎的なノルムの性質と Doob 不等式を得ている。これに続いて前双対空間をブロック空間として構成することを考えている。これによりピン留め型の条件付き期待値の有界性の問題を解決し、ユークリッド空間上の Morrey 型空間との関係を明確にする研究の完成を考えている。「連続パラメータのマルティンゲールに対する分数べき積分作用素」については、先行する分数べき積分作用素の研究を参考に、Morrey 型空間で考えて有界性を示してゆきたい。 また、以上の研究が停滞した場合は、昨年から始めた Markov 半群に対する分数べき積分作用素の有界性の研究を重み付き空間へ拡張することを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で、とくに出張が不可能となり、旅費が全く使用できなかった。次年度はオンラインの環境を整えることに使用したい。また、研究集会等の出席が難しいため、文献の取り寄せや書籍の購入をより積極的に行いたい。
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