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2020 年度 実施状況報告書

関数空間による数学解析の深化と発展

研究課題

研究課題/領域番号 19K03546
研究機関中央大学

研究代表者

澤野 嘉宏  中央大学, 理工学部, 教授 (40532635)

研究分担者 田中 仁  筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 講師 (70422392)
岡田 正已  東京都立大学, 理学研究科, 客員研究員 (00152314)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードモレー空間 / 補間理論 / コンパクト性
研究実績の概要

モレー空間の複素補間について,いくつかの結果を得た。モレー空間とL∞との中間空間とはならない空間を考えることが肝である。実際に,モレー空間とL∞との中間空間については補間空間を具体的に記述することは既存のモレー空間で可能だからである。この方向の研究として,以下のいくつかの結果を得た。1)このモレー空間とL∞との中間空間から外して考えるという着眼点に立脚して、分数べき積分作用素の有界性を精製した。この研究についてはY. Sawano and S. Sugano, Complex interpolation and the Adams theorem, Potential Anal. 54, no. 2, 299--305 (2021)として公表済みである。2)分数べき積分作用素とBMOの生成する作用素の有界性を上記の着眼点に立脚して考察した。1)との決定的な違いは,BMOの特異性により1)で用いたモレー空間は使えないので,代わりに第二種オーリッツ・モレー空間を使用することになった点である。ただし,コンパクト性についてはある程度の段階まで行くと,1)と同じモレー空間を使えたことは新鮮な発見であった。3)バナッハ束の複素補間を計算する計算公式と,特にモレー空間同士を複素補間する計算公式を見つけた。この公式のうち前者は上述の1)と2)で得られた研究成果において使用されている。また、変動指数ルベーグ空間の研究から,作用素自体をパラメータ付けして考えることにより,モレー空間における有界性を示す別の方法が見つかったことである。この研究については論文として投稿している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

後述する通り,研究で得られた副産物はいろいろな方向に活用されており,決して研究が無意味であったとはいえないが,コンパクト予想を解く手がかりを得るには至っていない。コンパクト性を有する作用素と複素補間の関係についてはよく分かったが,非コンパクトな作用素の例がうまく見つけられていない。どうしても考えてみたいのは,モレー空間を(Θ,∞)レベルで実補間することで,これにより今まで得られた結果との関係を調べたいが,実補間は思いのほかに難しく,有効な解決策が見つかっていない。(他方で,複素補間については計算公式が得られているので,ある程度わかってきた)

今後の研究の推進方策

上述の通り,研究は遅れているが,実補間を研究していくことにより,ローレンツ空間を用いることで、endpoint caseと呼ばれている比較的難し目の偏微分方程式の解の存在,一意性を示すことができることが分かってきた。今後は,今まで得られた研究成果が応用に耐えうるかの検証を行っていくこととする。実補間とベゾフ空間については拙著「Theory of Besov spaces」にあるように密接な関係がある。実補間について本研究で考案したことがいろいろな方向に発展して,例えば,Toru Nogayama and Yoshihiro Sawano, Maximal regularity in Morrey spaces and its application to two-dimensional Keller--Segel systemとして投稿済みである。また,さらに補間を応用してローレンツ空間などを用いてKeller--Segel方程式を解析することを計画している。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍により,実際に多くの研究集会がオンライン化したために、交通費を使うことがなくなった。オンライン化のために,ipadなどを増備する必要が生じたので、その必要経費に充てたい。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] バンドン工科大学(インドネシア)

    • 国名
      インドネシア
    • 外国機関名
      バンドン工科大学
  • [国際共同研究] 高等科学研究所(イラン)

    • 国名
      イラン
    • 外国機関名
      高等科学研究所
  • [国際共同研究] カターニア大学(イタリア)

    • 国名
      イタリア
    • 外国機関名
      カターニア大学
  • [国際共同研究] モスクワ友情大学(ロシア連邦)

    • 国名
      ロシア連邦
    • 外国機関名
      モスクワ友情大学
  • [雑誌論文] Weighted Hankel Transform and Its Applications to Fourier Transform2021

    • 著者名/発表者名
      Okada Masami、Sawano Yoshihiro
    • 雑誌名

      Journal of Fourier Analysis and Applications

      巻: 27 ページ: 1-28

    • DOI

      10.1007/s00041-021-09831-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Complex Interpolation and the Adams Theorem2020

    • 著者名/発表者名
      Sawano Yoshihiro、Sugano Satoko
    • 雑誌名

      Potential Analysis

      巻: 54 ページ: 299~305

    • DOI

      10.1007/s11118-020-09827-7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Weighted local Morrey spaces2020

    • 著者名/発表者名
      Nakamura Shohei、Sawano Yoshihiro、Tanaka Hitoshi
    • 雑誌名

      Annales Academiae Scientiarum Fennicae Mathematica

      巻: 45 ページ: 67~93

    • DOI

      10.5186/aasfm.2020.4504

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Paracontrolled quasi-geostrophic equation with space-time white noise2020

    • 著者名/発表者名
      Inahama Yuzuru、Sawano Yoshihiro
    • 雑誌名

      Dissertationes Mathematicae

      巻: 558 ページ: 1~81

    • DOI

      10.4064/dm806-7-2020

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Weak Type Vector-Valued Inequality for the Modified Hardy-Littlewood Maximal Operator for General Radon Measure on Rn2020

    • 著者名/発表者名
      Sawano Yoshihiro
    • 雑誌名

      Analysis and Geometry in Metric Spaces

      巻: 8 ページ: 261~267

    • DOI

      10.1515/agms-2020-0113

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Weighted Hankel Transform and Its Applications to Fourier Transform2021

    • 著者名/発表者名
      澤野嘉宏
    • 学会等名
      調和解析セミナー
  • [学会発表] Morrey spaces2020

    • 著者名/発表者名
      澤野嘉宏
    • 学会等名
      Harmonic and Spectral Analysis 2020
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Morrey spaces2020

    • 著者名/発表者名
      澤野嘉宏
    • 学会等名
      ICOMCOS
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] Introduction and Applications to Integral Operators and PDE’s, Volume I+II2020

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiro Sawano, Giuseppe Di Fazio and Denny Ivanal Hakim
    • 総ページ数
      940
    • 出版者
      CRC press
  • [備考] 澤野嘉宏のホームページ

    • URL

      https://www.math.chuo-u.ac.jp/sawano/

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公開日: 2021-12-27  

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