研究課題/領域番号 |
19K03548
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
三上 敏夫 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (70229657)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 確率最適輸送問題 / 双対定理 / superposition principle |
研究実績の概要 |
初期終期確率分布を固定した場合と各時間での確率分布を固定した場合の連続なセミマルチンゲールに対する確率最適輸送問題を考える。我々が過去に証明していたこの問題に対する双対定理をD.Trevisanのsuperposition principleを用いて一般化した。特に、作用汎関数の下半連続性の証明に必要な仮定を取り除くことができた。証明のアイデアは,確率最適輸送問題を、Mother Theoryのアイデアにより、一般化されたFokker-Planck方程式の有限次元的な変分問題に書き直し、確率測度の積分の最小化問題に帰着させることである。Kantorovichは非線型汎関数の最小化問題であるMongeの問題を線形な確率測度の積分の最小化問題に帰着させたが、これはそれに対応するものである。また、従来独立に証明されていたFokker-Planck方程式の解に対する双対定理も同時に証明できる。初期終期確率分布を固定した場合の確率最適輸送問題の典型例であるSchroedingerの問題を初期確率分布を確率分布に持つ確率変数の汎関数と考えたとき、連続で半凹性を持つことを証明した。半凹性の証明には上記双対定理を用いた。また、連続性の証明には昨年度証明したSchroedinger汎関数方程式の解の初期終期確率分布に関する連続性を用いた。凸でないコスト関数を持つ最適輸送問題の解のMarkov性を状態空間が1次元の場合に示した。証明の鍵は、セミマルチンゲールのドリフトベクトルに対して、凹関数をコスト関数に持つ最適輸送問題の最小解と共分散核のアイデアからfeedback型のドリフトを作ることである。また、V.I. Bogachev, M. Rockner, S.V. ShaposhnikovによるD.Trevisanのsuperposition principleの一般化も重要な役割を果たした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
D.TrevisanやV.I. Bogachev, M. Rockner, S.V. Shaposhnikovにより、superposition principleの理論が著しく進展し、それを用いることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
海外共同研究者であるKansas大学Jin Feng教授と、確率最適輸送問題を用いて大偏差原理について研究を進めている。新型コロナウイルスの影響で直接会っての研究連絡はできないが、メールを用いてできる範囲で研究したい。 また、台湾国立中央大学のSJ Sheu 教授とKnothe-Rosenblatt processの存在と一意性の研究について研究を進展させたい。 Schroedingerの問題に関する解の半凹性や連続性などの結果を一般の確率最適輸送問題についても証明したい。 これらの結果を平均場偏微分方程式システムの解の滑らかさや解空間の決定につなげたい。
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