研究課題/領域番号 |
19K03549
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
神保 道夫 立教大学, 理学部, 特任教授 (80109082)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | トロイダル量子群 / W代数 / 運動の保存量 / qq指標 |
研究実績の概要 |
本年度は次の2点を研究した:1)A型量子トロイダル代数上の余加群代数Kn, 2)qq-指標の組み合わせ論。これらはそれぞれ初年度および前年度の研究の継続である。 1)初年度の研究において、BCD型変形W代数を量子トロイダル代数の立場から統一的に取り扱う枠組みを導入し、運動の保存量を構成した。そこではgl1型量子トロイダル代数上の余加群となる代数K1が主要な役割を演じる。1)ではこの研究をglnバージョンである代数Knに拡張した。主結果は量子トロイダル代数の場合と同じ核関数を用いてKnの基本カレントから運動の保存量を構成したことである。なおKnの基本カレントに対するスクリーニング作用素はDm型量子トロイダル代数と密接に関連しており、代表者らが以前証明した(glm,gln)型の双対性と類似の双対性がこの場合にも成り立つことを期待している。 2)自由場表示において、変形W代数はいくつかのスクリーニング作用素と可換なカレント全体と定義されるが、典型的な場合スクリーニング作用素は1つの頂点作用素の積分である。これらと可換なWカレントを頂点作用素の有限和の形で組織的に構成したい。その際量子アフィン代数の有限次元表現論の研究に有効であったq指標の組み合わせ論が参考になる。前年度は、スクリーニングカレントがすべてフェルミオンであるという強い仮定をおいて、与えられた単項式からカレントを構成するアルゴリズムを与えた。本年度の研究ではスクリーニングカレントがフェルミオンとは限らない一般の場合、2つ以上の頂点作用素の和になる場合も含めて拡張を検討したが、発表できる結果には至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
qq指標の研究は予想外に複雑であった。成果に到達できなかったのは明確に問題を絞り切れなかったことが一つの原因と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
水際対策の緩和に伴い共同研究者の招聘を予定している。次年度はより集中した共同研究を進められると期待している。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染症拡大により、本年度も共同研究者招聘と海外出張をすべてキャンセルせざるを得なかった。これらは次年度に実施したい。
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