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2019 年度 実施状況報告書

変数係数反応拡散方程式系の基礎理論――Turingの向こうに広がる光景

研究課題

研究課題/領域番号 19K03557
研究機関東北大学

研究代表者

高木 泉  東北大学, 理学研究科, 名誉教授 (40154744)

研究分担者 鈴木 香奈子  茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (10451519)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード反応拡散方程式系 / 変数係数 / パターン形成 / 受容体―結合基反応
研究実績の概要

反応拡散方程式系は,化学反応系や生物の発生過程に見られるパターン形成,あるいは生態系の空間的棲み分けなどのモデルとして広く用いられている.そこでは,空間的に一様な状態から自発的に非自明な空間的構造が生まれる機序を理解することが第一義的関心事である.本研究は,一歩進めて,空間的に非一様な環境において,その非一様性から規定される自然な分布以外に,所与の非一様性を乗り越えた新しいパターンが自発的に形成され得るか否かを解明することを目指すものである.
初年度はMarciniak-Czochraが提唱した発生生物学の受容体―結合基結合モデルについて,定数係数の場合に用いられた構成法を変数係数の場合に拡張し,非自明定常解の存在のために係数が満たすべき十分条件を与えた.特に,拡散を無視した場合に得られる空間変数をパラメータとして含む常微分方程式系が,空間変数に応じて単安定から双安定まで変化するような場合にも,非自明定常解が存在することを示した(論文として投稿済み).
一方,分担者は,従来二元連立の拡散―非拡散系に対して知られていた定常解の不安定性に関する結果を,複数の非拡散系と一本の反応拡散方程式から成る連立系に拡張することを試みた.二元連立系で定常解の不安定性を示すカギとなった,非拡散方程式の非線形項が持つ「自己触媒作用」に対応するものとして,複数の非拡散方程式から定義される線形化行列が満たすべき条件を明らかにした.更に,非一様媒質中のカルシウム派の伝播モデルの進行波解の構成方法の開発に取り組んだ.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は,GiererとMeinhardtによる活性因子・抑制因子系の定常解の安定性とMarciniak-Czochraの受容体―結合基モデルの両方について研究を行う予定であったが,後者の非自明定常解の存在に関する研究が非常に進展してきたので,こちらに集中することに変更した.前者は来年度の集中課題とすることにした.

今後の研究の推進方策

初年度に受容体―結合基モデルの数値シミュレーションを行うこととしていたが,第二年度に研究支援者を雇用して,より系統的にデータを収集することにする.また,初年度に計画していた活性因子・抑制因子系の定常解の安定性については,第二年度の重点研究課題とする.

次年度使用額が生じた理由

本年度,海外の研究協力者を招聘する計画であったが,先方の都合がつかなかったため,旅費に余剰が生じた.また,シミュレーションを学生に依頼するための謝金を用意していたが,適当な学生が見つからなかったため,断念した.幸い,次年度にシミュレーションを担当する大学院生が見つかったので,半年間程度研究支援者として雇用し,より系統的な資料収集をする予定である.また,海外の研究協力者を招く予定である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [国際共同研究] 中国人民大学/中山大学(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      中国人民大学/中山大学
  • [国際共同研究] ハイデルベルグ大学(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      ハイデルベルグ大学
  • [雑誌論文] Hysteresis-driven pattern formation in reaction-diffusion-ODE systems2020

    • 著者名/発表者名
      Alexandra Koethe, Anna Marciniak-Czochra, Izumi Takagi
    • 雑誌名

      Discrete and Continuous Dynamical Systems, Set. A

      巻: 40 ページ: 3495-3627

    • DOI

      10.3934/dcds.2020170

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Spatial patterns of some reaction-diffusion-ODE systems2019

    • 著者名/発表者名
      Kanako Suzuki
    • 学会等名
      Modeling biological phenomena by parabolic PDEs and their analysis
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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