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2022 年度 実施状況報告書

変数係数反応拡散方程式系の基礎理論――Turingの向こうに広がる光景

研究課題

研究課題/領域番号 19K03557
研究機関東北大学

研究代表者

高木 泉  東北大学, 理学研究科, 名誉教授 (40154744)

研究分担者 鈴木 香奈子  茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (10451519)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード反応拡散系 / 変数係数微分方程式 / パターン形成 / 不連続定常解 / 受体-配体模型
研究実績の概要

研究代表者は,Marciniak-Czochra の受体-配体模型の最も単純化されたものについて,変数係数の場合に,多次元領域における跳躍不連続性をもつ定常解の存在と安定性を証明した.一般の有界領域の場合には,張恭慶による可微分でない汎函数に対する峠の補題を適用した.また,領域が球である場合には,特異摂動法を用いて,球対称な解を構成した(赤木剛朗と張聡暉との共著論文として投稿中).
また,常数係数の受体-配体模型について,進行波解の構成を行った(侯玲玲,國府寛司,Marciniak-Czochraとの共著論文).パターンの時間的変化は界面の運動として現れることが多い.進行波解は,界面の運動の理解において出発点となるものである.さらに,分担者と共同で,GiererとMeinhardtによる活性因子ー抑制因子系の進行波解の存在の証明を試みている.数値解を詳細に検討して適切な第一近似を構成することに焦点を絞って研究を行った.
研究分担者は,昨年度行っていた拡散―非拡散系の進行波解の存在に関する解析手法の知見から,適当な変数変換が拡散-非拡散系の爆発解のダイナミクスを解析するために有効なのではないかという予測を得た.そのため,まずは解析に慣れている古典的な反応拡散系を扱い、適当な変数変換の導入を試みた.外力項を含む系について,この外力項を使った適当な変数変換を導入することにより,解のダイナミクスを解析する新たな解析手法が得られることが分かった.ここでの手法を最も単純な2連立の拡散-非拡散系に適用し,無限時間かけて解が無限大へ行く現象の解析に取り組んでいるところである.
新たな視点から解析を行ったため,解の時間大域的挙動に予測を立てるために数値実験を行うことにも時間を割いた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

Marciniak-Czochraが提唱した受体-配体模型について,高次元領域における定常解の存在と安定性について研究成果をまとめた論文を投稿した.また,定数係数の場合に進行波解の存在を証明した論文の掲載が決まった.このように,本研究の成果の意義が認められてきた.
一方において,Covid-19 感染対策のため,予定していた2022年度における国際研究集会の開催ができなかった

今後の研究の推進方策

本年初冬までに国際研究集会を開催する

次年度使用額が生じた理由

小規模ながら国際研究集会の開催を計画していたが,Covid-19感染症対策のため,国内外の移動が制限されたため,前提としていた対面方式の集会は断念せざるを得なかった.次年度に繰り越して,対面式研究集会を開催するために使用する.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [国際共同研究] 清華大学/中国人民大学(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      清華大学/中国人民大学
  • [国際共同研究] ハイデルベルグ大学(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      ハイデルベルグ大学
  • [雑誌論文] Instability of all regular stationary solutions to reaction-diffusion-ODE systems2022

    • 著者名/発表者名
      Szymon Cygan, Anna Marciniak-Czochra, Grzegorz Karch, and Kanako Suzuki
    • 雑誌名

      Journal of Differential Equations

      巻: 337 ページ: 460-482

    • DOI

      10.1016/j.jde.2022.08.007

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Travelling wave solutions of a reaction-diffusion-ODE system with S-hysteresis2022

    • 著者名/発表者名
      Izumi Takagi
    • 学会等名
      International Conference on Nonlinear Analysis and Nonlinear Partial Differential Equations
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Stable discontinuous stationary solutions of a reaction-diffusion equation coupled with an ODE2022

    • 著者名/発表者名
      Izumi Takagi
    • 学会等名
      Long Feng Forum, Partial Differential Equations: Interaction of Analysis, Geometry and Topology
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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