研究課題/領域番号 |
19K03567
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
新居 俊作 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (50282421)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Maslov Index / Stability Index / 相転移 |
研究実績の概要 |
1、Maslov Index は空間次元が二次元以上の領域で考えると無限次元の対象を考えなければならなくなるが、特に(恒等作用素)+(コンパクト作用素) の形のユニタリ作用素が定めるLagrange Grassmann 多様体をFredholm Lagrange Grassmann 多様体と呼び、この無限次元多様体の基本群は整数環Z と同型であり、その上の曲線により非自明なIndex を定めることができる。本研究では Neumann 境界条件を課した熱方程式に対して無限次元Maslov Index を用いることにより、所謂Hot Spot 予想と呼ばれる問題に関連した研究を、その位相幾何学的構造を明らかにすることを目標に行った。 2、Stability Index もやはり空間二次元以上では無限次元化しなければならずMaslov Index と同じ困難があるが、この上記と困難も同様の方法で解決された。 無限次元Stability Index無限次元Stability Index の理論は発表当時は理論先行で具体的な応用例に乏しかったが、近年の反応拡散系等の研究の進展によって応用できる可能性のある例が増えていおり、本研究でこのIndex の具体例への応用を行うための研究を行った。 3、本研究では相転移現象の数学的モデルとして無限格子上の結合常微分方程式系の研究を行っている。相転移の問題はこれまで主に解析的な手法を用いて研究されてきたが、本研究は与えられたポテンシャルに対する相空間内の等エネルギー超曲面の位相幾何学的変化が様々な熱力学的量の発散や不連続性の起源になっているのではないかと推測し、この超曲面の位相幾何学的な構造と相転移を関連付けることにより、相転移現象の幾何学的構造を理解しようというアイディアで行われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大により、研究集会への出席が事実上出来なくなった。 一部ではオンラインによる開催も行われているが、実際に講演者と対面で細部にわたる議論を行うことの代替には到底ならず、最新の研究情報の入手や他の研究者とのアイディアの交換が非常に困難な状況にある。 また、交付された科学研究費もほとんど次年度に繰り越すこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスのワクチンの接種が進み、本年度後半にも対面での研究集会の開催や他の研究者との情報交換、議論のための出張が可能になることを期待し、令和2年度3年度の2年分のうちできる限りの出張をその半年間に集中的に実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大により、事実上研究に関わる全ての出張が中止になり、対面での研究集会の開催も全て中止になったため、科研費のほとんどの使用予定が中止や延期になった。 ワクチン接種の進行により、新年度後半には全面的に出張、対面での研究集会が再開することに期待し、その半年間に2年分を可能な限り集中的に行う。
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