研究課題/領域番号 |
19K03577
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
久保 隆徹 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (90424811)
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研究分担者 |
齋藤 平和 電気通信大学, 情報理工学域, 准教授 (30754882)
高安 亮紀 筑波大学, システム情報系, 助教 (60707743)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Navier-Stokes方程式 / Burgers方程式 / 圧力安定化法 / 時間遅れ |
研究実績の概要 |
圧力安定化法による近似Navier-Stokes方程式については,近似Stokes方程式に対応する線形作用素の最大正則性やLp-Lq評価を求めることができた.その応用として圧力安定化法による近似Navier-Stokes方程式の弱解の存在とその解の性質を示すことができた.圧力安定化法による近似Navier-Stokes方程式は流体現象の数値シミュレーションでの有限要素法では必ず出てくる方程式であり,その解を数学的に保証するものとなる.ただし,近似問題の解は非圧縮条件を満たさないため,言い換えれば,通常のNavier-Stokes方程式の弱解を考える際の試験関数の集合と,近似Navier-Stokes方程式の弱解を考える際の試験関数の集合が同じでないため,容易に誤差評価を行うことができない.そのため,誤差評価については今後の研究課題となる. また,Navier-Stokes方程式に対して時間遅れを考慮に入れることで導出される双曲型Navier-Stokes方程式についてはその解析の手がかりを考えるために,Navier-Stokes方程式の1次元モデルであるBurgers方程式に対して時間遅れを考慮に入れた問題を考察した.昨年度にすでに時間局所解の一意存在性とアプリオリ評価を求めることができ,これらのことを使って時間大域解の一意存在性が示されている.今年度は,その時間大域解のL1評価を求めることができ,そこから重み付きL2評価を導くことができた.これにより時間大域解の時間無限大での挙動の解析が可能となった.今後はその解析のもと,双曲型Navier-Stokes方程式の解析につなげたいと考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題の1つである,圧力安定化による近似Navier-Stokes方程式の解析はおおむね順調に進展しており,申請書に書いてある内容についてはほぼ示すことができている.今年度はそのまとめを行う.もう1つの課題である双曲型Navier-Stokes方程式の解析については進捗があまりないが,そこから派生している時間遅れを考慮に入れたBurgers方程式の解析は順調に進んでおり,今年度はそこでの解析を基に双曲型Navier-Stokes方程式の解析を行う予定である.
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今後の研究の推進方策 |
双曲型Navier-Stokes方程式の解析は,神奈川大学の中村憲史氏と共同研究によって行っている.今年度は,密に連絡を取りながら研究を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症の拡大により多くの研究集会がオンライン開催となっている.そのため,旅費を使うことができず使用額が大幅に減少している.今年度は多くの研究集会が対面やハイブリットでの開催を視野に入れているので,旅費を使うことができると考えている.また,所属大学での研究会を実施したり,研究打ち合わせを行い研究を進めるために旅費を使う予定である.
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