研究課題/領域番号 |
19K03579
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
前田 昌也 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (40615001)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 国際情報交換 / 非線形シュレディンガー方程式 / ソリトン / キンク / 量子ウォーク |
研究実績の概要 |
本年度は1次元の非線形シュレディンガー方程式のソリトン解並びに非線形クラインゴルドン方程式のキンク解の漸近安定性についての研究をおこなった。また、並行して量子ウォークの長距離散乱についての研究もおこなった。 非線形シュレディンガー方程式や非線形クラインゴルドン方程式などの非線形分散型方程式では次元が低いほど分散性は弱く、その分漸近安定性の証明は難しくなる。特にキンク解の漸近安定性解析においては変数係数の二次の非線形項が現れ、剰余項は線形散乱しない。このような困難はビリアル等式を使った議論により(漸近安定性の結果を少し弱めることにより)克服することができることが近年コヴァルチク-マルテル-ムノスらの研究で明らかにされてきた。本年度の研究では前年度までに発展させた改良近似解の理論をコヴァルチク-マルテル-ムノスらのビリアル等式による評価と組み合わせることにより中立固有値の評価も含めてこれらの理論を統合し、結果を得ることができた。 量子ウォークの研究では、これまでに短距離ポテンシャルのついた量子ウォークについてその分散評価を得ていたが、今年度は長距離ポテンシャルのついた量子ウォークに対して、特異連続スペクトルの非存在を証明した。この研究ではこれまでの短距離ポテンシャルの場合と同様に一般化固有関数の構成からはじめ、長距離の場合での一般化固有関数の自由な場合からの位相の修正を導入することで極限吸収原理を証明した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究が順調に進展しているため。
|
今後の研究の推進方策 |
改良近似解の理論とビリアル等式による評価の組み合わせによる漸近安定性解析をさらに押し進める。具体的には複数の中立固有値を持つ動くキンク解の漸近安定性解析を試みたい。 また、マルチキンク解の挙動や不安定なソリトンの安定多様体理論の構築なども行うことを試みる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
昨年度に引き続きコロナによって多くの出張予定がキャンセルされた。コロナが収束次第本来行くはずであった出張を再開し今年度の未使用額を使用する。
|