研究課題/領域番号 |
19K03591
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
田中 視英子 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 講師 (00459728)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | p-Laplacian / 固有値問題 / 解の正値性 / 符号変化する重み関数 |
研究実績の概要 |
p-Laplacian の固有値問題に表れる方程式に重み関数がついた p-sublinear な項が足された場合の非負値な最小エネルギー解(ground state)について研究を行った。一般に p-sublinear な項に符号変化する重み関数がついている場合には最大値原理が適用できなくなる。このことから、非負値解の正値性が保証されず, 値がゼロとなるような部分である dead core を持つ場合がある。そこで、ground state は汎関数のエネルギーが最小であるという特徴から解の正値性に代わる特徴などを考察した。また、汎関数の極小点となるような非負値解に対しても同様な特徴付けを行った。 扱った方程式の ground state の存在・非存在を決めるパラメータの閾値は固有値や固有関数、さらに重み関数との関係で決まることが知られていた。しかし、ちょうど閾値となる場合には、どのようになっているか分かっていなかった。本研究ではこの閾値での ground state の存在・非存在を決定するには第一固有関数と重み関数との関係以外にも p と p-sublinear な項のベキとの関係によって結果が異なる事を示した。この結果により、ほぼ完全に ground state の存在・非存在についての分類を終わらせることができた。 また、解の存在に関しては、ある符号変化するような重み関数を持つ場合に、既存のp-superlinear や p-sublinear のどちらの場合でも得られていなかったパラメータの範囲にまで解の存在を示すことができた。とくにground state からの摂動問題として、極小点や mountain pass 解などによる解の多重性を示す事に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主要部が(p,q)-Laplacian の場合の固有値問題に関連する既存の結果や参考にできる情報が少ない。そのため、単独の場合の結果を精査し、さらに拡張した結果を出さないといけないため、まずは単独な場合の研究に時間がかかっている為。
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今後の研究の推進方策 |
単独な p-Laplace 方程式で知られている Anti-maximum principle の一般化を行う。この一般化は、2021年度に研究を行った方程式を念頭におきながら行う予定である。これにより、非線形項の一般化は当初の目標の形まで達成できる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ流行による規制などが続いており、海外渡航や共同研究者の招致が難しかったため、旅費で使用する予定であった額を使用しなかったため。2022年度に可能であれば、共同研究者の招致を行う予定である。また、国内での共同研究の為の打ち合わせや情報収集の為の国内旅費に補填する予定である。
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