研究実績の概要 |
Vladimir Bobkov 氏との共同研究において, Dirichlet 境界条件での符号変化する重み関数と外力項を持つ p-Laplace 方程式に対する最大値原理と反最大値原理に関する研究を行った。ここで、研究対象である元々の p-Laplace 方程式は1つのパラメータを持ち、そのパラーメータが符号変化する重み付き第一固有値に近い場合を考えた。この研究ではとくに, 反最大値原理に関して、重み関数と外力項に対する可積分性がどの程度必要であるのか?という問題に着目した。というのも、既存の結果では, p=2 のときの Laplace 方程式のときに知られていた結果と比較すると、一般の 1<p<\infty の場合には係数関数と外力項が共に有界という強い仮定の下でしか既存の結果がなかった。本研究では、一般の場合にも p=2 の時に対応する可積分性で十分であるという研究結果を得ることができた。ここでの、証明のポイントは一般の p の場合に, 解の正則性をいかに上手く導くかということだった。 さらに、領域の内部でのみの弱い意味での反最大値原理については, p=2 のときの既存の結果に対応する可積分性よりも良い結果を p=2 の場合を含む一般の p に対して示すことに成功した。この弱い意味での反最大値原理は一般のp の時には既存の結果が全く無く、新しい証明方法を構築した成果である。また、2年前に本研究課題で改良した一般化されたPicone不等式を上手く使うことにより、p-劣線形な非線形項を摂動しても結果が拡張できることを示すことに成功した。
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