研究課題/領域番号 |
19K03597
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
加納 幹雄 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 名誉教授 (20099823)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 虹全域木 / 彩色全域木 / 幾何的全域木 / すべての[1,k]-因子 / 平面上の虹多角形 |
研究実績の概要 |
辺着色されたグラフGにおける虹全域木や彩色全域木については、最小色次数が|G|/2以上でかつある補助的な条件を満たせば虹全域木が存在することを最近示した。この最小色次数の条件を、隣接する2点の色次数和が|G|以上であるとの条件に緩和することを試み、最善の条件でできた。これを論文としてまとめて投稿した。また、辺着色された完全グラフにおける彩色全域木の存在については、当初の見込みとは違って、定数の最小色次数条件では不十分なことがわかった。つまり、位数nの完全グラフにおいては、最小色次数 n/3が必要なことが分かった。そしてこれが最善の条件と予想し、研究を続けている。 グラフの全域木TをStem(T)を用いて特徴づける問題については、論文にまとめて発表するだけの研究成果は得られていない。しかし、Stemで全域木を特徴づける問題は注目を集めており、またこの一般化も試みられている。今後も研究を続けていきたい。 平面上に与えられた赤点と青点に対して、青点を葉とし、赤点を葉以外の点とする無交差な幾何的全域木については、研究が完成し、論文として投稿したが、証明の主要な部分が既知であることがわかり、主要なジャーナルへの投稿は難しいと判断し、arXivへの投稿にとどめた。その他、平面上に与えられた多色点に対して、各色の点を1点づつ含む虹多角形について一定の成果を得て、論文を投稿した。 課題に関連するグラフの問題として、グラフの因子についていくつかの研究成果を得て発表した。具体的には、グラフGの各辺をk本の多重辺に置き換えてできるグラフkGにすべての[1,k]-因子が存在するための必要十分条件を求めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
辺着色されたグラフにおける虹全域木や彩色全域木については、いくつか研究成果が得られ一部は発表・投稿した。一方、まだ未解決で興味深い問題もあるのでこの研究が今後の課題である。 平面上の多色点集合について、虹多角形の研究を行い論文にまとめて投稿したが、この研究はまだ道半ばであり、今後も研究を継続したい。また、「平面上の多色点集合上の離散幾何 survey」という約70ページのsurveyを依頼され執筆した。この過程でいくつかの関連する新し問題も見つかったので、それも研究したい。 グラフの全域木とグラフの因子は密接な関係がある。グラフの因子については、いくつかの結果を得て発表した。
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今後の研究の推進方策 |
辺着色された完全グラフKnに彩色全域木が存在するための最小色次数条件について、当初の予想に反してn/3が必要なことが分かった。これを証明することが一つの目標である。関連して、辺着されたグラフにおいて彩色全域木が存在するための最小色次数の条件を接続する2点の色次数和の条件が緩和できた。このような拡張を他の類似の問題でもでき可能性があるので、それについても調べる。 平面上の多色点集合について、虹多角形の研究を行い論文にまとめて投稿した。この研究はまだ未解決の問題が多く、今後も研究を継続する。なお、共同研究者が主にヨーロッパにおり、コロナウイルスの関係で当分訪問ができなくなりそうなので、長期的な観点に立って研究を進める。 グラフの全域木とグラフの因子は密接な関係があるので、全域木だけでなく、グラフの因子もあわせて研究する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月の出張等が新型コロナのため中止になったため。少額であるので次年度の研究費と併せて旅費に使用する。
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