研究実績の概要 |
今年度は、主に、半順序集合上のマトロイド的構造の1つであるポセット・マトロイドについての研究を進めた。1990年に E. Tardos が与えたポセット・マトロイドに対する交差定理と関連して、ポセット・マトロイドの基階数関数についてその性質や特徴づけについての研究を行った。 それから、2021年3月に開催された日本数学会の応用数学分科会において、「半順序集合上のマトロイド的構造とその周辺」という題目で特別講演を行った。半順序集合上に定義されるマトロイド的構造には、1972年に F. D. J. Dunstan, A. W. Ingleton, D. J. A. Welsh によって定義されたスーパーマトロイド、1980年に U. Faigle によって定義された半順序組合せ幾何、1990年代に M. Barnabei , G. Nicoletti, L. Pezzoli によって研究が進められたポセット・マトロイドなどがあるが、それらの数理構造およびその上での最適化問題(最大独立集合問題、最大共通独立集合問題、最大独立マッチング問題など)に関して、既存の研究のサーベイを与えるとともに、現在進めている研究について講演した。 ポセット・マトロイドについて、その上の最適化問題のアルゴリズム的側面の研究を、来年度は重点的に進めていくとともに、さらに、いくつかの結果はポセット・マトロイドの一般化の1つにあたる凸幾何上のマトロイドにまで拡張することを試みる予定である。また、これまでに得られた結果を論文の形にしていこうと考えている。
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