研究課題
最終年度の研究の一つとして,前年度に引き続き,M. de Brecht氏 およびV. Selivanov氏と共に,擬ポーランド空間のイデアル表現についての共同研究を実施した.擬ポーランド空間は,ポーランド空間だけでなく領域理論に現れるような距離化不可能空間も統一的に扱うための 重要な空間概念であり,計算可能解析学および記述集合論で近年深く研究されている.この研究に関する本年度の主要な結果としては,昨年度までの時点では未解決な問題として提示していた,計算可能ω-連続領域の枚挙可能性に関する問題にも解決を与えたことである.この証明には,擬ポーランド空間のイデアル表現を深く活用している.他にも,ω-連続領域の次数スペクトルに関するいくつかの結果を得ている.本年度の別の主要な研究成果としては,A. Pauly氏とのde Groot双対に関する共同研究がある.当初の目的は,高階関数空間などの第二可算でない空間の計算論的振る舞い,特に次数スペクトルの分析であり,このために陰定義可能性の理論が応用可能であることを発見していた.陰定義可能性の研究は,数学基礎論におけるタルスキの真理定義不可能性に端を発するもので,特に算術の真理は算術的定義不可能であるが,その一方で,算術的「陰」定義可能であることが知られている.この概念を空間の計算論的分析に応用する過程で,「陽定義可能性」と「陰定義可能性」の空間的理解が可能であることに気づき,これをde Groot双対の変種として捉えることが可能であることを発見した.この応用として,ハウスドルフ性とコンパクトT1性のある種の双対性を証明した.
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
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