研究課題/領域番号 |
19K03604
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
池上 大祐 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (20747208)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 数理論理学 / 集合論 / 巨大基数公理 / 無限ゲームの決定性 / 記述集合論 / 決定性公理 |
研究実績の概要 |
本研究では、自然数を一般化した無限の数(無限基数)と、チェス・囲碁・将棋といった2人でプレーするボードゲームを一般化した無限ゲームの関係について考察する。本研究は、北テキサス大学の Nam Trang 助教との共同研究である。 2019年度は、最小の非可算基数 ω_1 が超コンパクト基数であるときにどのような記述集合論的な帰結が得られるかについて研究した。ω_1 が超コンパクト基数であるとき、a) 従属選択公理が成り立つこと、b) Chang モデルに属する実数の集合はすべてルベーグ可測になることは以前の研究で分かっていたが、新たに、c) ススリンな実数の集合はすべて弱一様ススリンになること、d) 任意の集合 X に対して X# が存在すること、e)「集合論のモデル L(R) において決定性公理が成り立つ」という命題が V のどの強制拡大でも成り立つこと、がわかった。上記 d) や e) を示すために用いた議論は、ω_1 が超コンパクト基数であることから得られる P_{ω_1} X の特別な超フィルターによる超冪を使った汎用的なもので、「ある種の mouse operator たちの存在が、実数の全体のものから集合全体ものへと拡張可能である」という言明として一般化できることもわかった。これらの結果は、「研究の目的」で述べた、Chang+ モデルの構造解析、巨大基数公理を満たすモデル M_1 の構成に用いる予定である。 一方で、ω_1 が超コンパクト基数であるとき、ススリンな実数の集合がすべて決定的になるかどうかは分かっておらず、今後の研究課題の一つとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、Chang+ モデルの構造解析をする予定だったが、Chang+ モデルよりも単純である Chang モデルの綿密な解析が必要になることがわかった。今年度は、巨大基数の存在下やω_1 の超コンパクト性の仮定の下での Chang モデルの分析の準備に時間を割いた。来年度以降、Chang モデル、そして、Chang+ モデルの構造解析を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初は、Chang+ モデルの構造解析をする予定だったが、Chang+ モデルよりも単純である Chang モデルの綿密な解析が必要になることがわかった。そこで、研究計画を変更して、来年度以降は、まず、Chang モデルの構造解析を進めていく。特に、巨大基数の存在下や ω_1 の超コンパクト性の仮定の下で、Chang モデルが決定性公理を満たすかどうか、「研究の目的」で述べた Derived Model Theorem を、ZFC にウディン基数の極限となっている到達不可能基数の存在の下で、Chang モデルに対して拡張できるかどうか、について調べていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度末に研究図書の購入を予定していたが、新型コロナウィルスの影響で物品の購入・清算が困難になった。次年度には、予定していた研究図書を購入して当該助成金を使用する予定である。
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