研究課題
単調正規性は距離空間の概念の自然な一般化で、その性質をもつ空間のクラスは一般順序空間をすべて含む広いものである。本研究は、単調正規空間の積空間の位相的性質を明らかにすること、特に部分集合のC*-、C-、P-埋め込みの様態の解明を目指すものである。位相空間Xに含まれる閉離散部分集合の基数の上限をextentといい、e(X)で表す。空間X,Yのextentの積 e(X)・e(Y)と積空間X×Yのextent e(X×Y)が等しいのか、後者の方が大きくなるのか、大きくなるとしたら両者はどのくらい離すことができるのか、ということについて、研究代表者と神奈川大の矢島氏は共同研究を行った。その結果、単調正規空間Xと、孤立点を高々1つしかもたない空間Yにおいて、e(X×Y)がe(X)・e(Y)より大きくなるための必要十分条件を明らかにし、また、大きくなる場合であっても、e(X)・(e(Y)^+)より大きくなることはないことなどを証明した。また、早稲田大の薄葉氏も共同研究に加わわり、一般化された距離空間の無限積やシグマ積のextentについての研究を行った。また、研究代表者は大分大の家本氏と静岡大の大田氏との共同研究で、z-neighborhood sublinear空間の概念を定義した。この空間のクラスをZとすると、すべての第一可算空間や一般順序空間はZに属すこと、Zに属す空間の部分空間や有限積はZに属すこと、Zに属す空間の稠密な部分集合がC^*-埋め込みであるならばそれがP-埋め込みであることを示した。その応用として、「順序数の2つの部分空間の積空間におる閉集合がC*-埋め込みならばP-埋め込みである」という既知の定理において、閉集合という仮定が除去できることが明らかになった。
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Topology Proceedings
巻: 59 ページ: 223-241
Topology and its Applications
巻: 307 ページ: 107946~107946
10.1016/j.topol.2021.107946