研究成果の概要 |
本研究の目的は単調正規空間の積空間の位相的性質を明らかにすることである。矢島氏との共同研究で, 可算離散空間Nのω1個のコピーの積空間において, C*-埋め込みとC-埋め込みが一致するかどうかはZFCで決定できないことを証明した。また, 単調正規空間Xと, 非孤立点を1つしか含まない空間Yの積空間X×Yで正規かつe(X×Y)>ω=e(X)・e(Y)となるものが存在するかどうかはZFCで決定できないことを証明した。ここで, e(X)は空間Xの閉離散部分集合の基数の上限である。 一般順序空間の辞書式順序積について家本氏と共同研究を行い, パラコンパクト性の特徴づけやweightの計算を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本課題は位相空間論と集合論の中間領域の研究である。これまでも集合論の専門家によって位相空間論の研究は行われてきたが, 集合論的な興味に傾きがちになることが多いそれらの研究と比して, 本研究は位相空間論側に軸足を置きながら, 現代集合論のツールを積極的に使っているという点が特徴である。 位相空間論において, C*-埋め込みやextentは基礎的な概念であり, その様態を明らかにすることは意義があるが, 命題の意味そのものは容易でありながら, 通常の集合論の公理系ZFCだけでは真偽を決定できないような例を提供できたことは, 特定の分野に限らず数学一般にとっても一定の意義があるものであろう。
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