研究実績の概要 |
2022年度は主に次の2つの研究を進めた. 1. 細分された辺を持つ凸多角形の三角形分割の数え上げ問題 各1≦i≦sについて,凸s角形のi番目の辺をn_i個の点により細分する.Pの頂点集合Vと内分点の集合Wについて,V∪Wの点を端点とする対角線によりPの内部を三角形領域に分割することをPの三角形分割と呼ぶ.Pの三角形分割全体の個数をf(s;n_1,n_2,…,n_s)と定義する.本研究ではfのs変数母関数Fを決定した. 2. コードダイアグラムの展開と偶奇増大木に関する数え上げ問題 円における弦の集合で、どの2つの弦もその端点を共有しないとき、その集合をコードダイアグラムと呼ぶ.コードダイアグラムEが2-交差S={x1x3,x2x4}を含むとする.このとき、EのSについての展開とは、Eを新たな2つのコードダイアグラムE1=(E-S)∪{x2x3,x4x1}とE2=(E-S)∪{x1x2,x3x4}に置き換えることである.どのようなコードダイアグラムE についても、それを出発点として展開を繰り返し、非交差コードダイアグラムまで展開し尽くすことができる.このとき、最終的に生成される非交差コードダイアグラム全体の重複集合NCD(E)は,展開の仕方に依らずEのみで決まる.NCD(E)の位数をEの展開数とよぶ.[n*]=(n以下の非負整数)を頂点集合とする有向木で,すべてのiからjへの有向辺ijがi<jを満たしているものを[n*]上の増大木と呼ぶ.分割[n*]={0}∪I0∪I1を考える.Tが[n*]上の増大木であり,iがI0(またはI1)に含まれるとき,iの出次数が偶数(または奇数)であるとき,Tを(I0,I1)-偶奇増大木と呼ぶ.本研究では,ある条件を満たすコードダイアグラムの族について,その族に含まれるコードダイアグラムの展開数が,ある偶奇増大木の個数と一致することを証明した.
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