研究実績の概要 |
本年度は次の結果を得た.(1)正則グラフの non-backtracking path の個数を成分にもつ行列に関する「モーメント」の(path の長さに関する)極限が逆正弦則のモーメントと類似していること.(2)上記の行列が隣接行列の第1種チェビシェフ多項式で書けること.(3)(2)に関連して第2種チェビシェフ多項式と隣接行列で書ける行列の「モーメント」の極限も逆正弦則のモーメントと類似していること.(4)上記の応用として Lubotzky-Phillips-Sarnak のラマヌジャングラフに関する重さ2の cusp form の p べきフーリエ係数の平均に関する結果を得た.上記 (1)~(4) については以下の論文にまとめ投稿中である. T. Hasegawa, T. Komatsu, N. Konno, H. Saigo, S. Saito, I. Sato and S. Sugiyama, The limit theorem with respect to the matrices on non-backtracking paths of a graph, preprint, 2020, arXiv:2005.09341. (5)上記の行列の成分の分布に関する数値実験と分布に関する予想を立てた. (6)研究発表は2回行った.6月「第93回米沢数学セミナー」,10月「2019軽井沢グラフと解析研究集会」である.
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