研究課題/領域番号 |
19K03620
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
鈴木 聡 島根大学, 学術研究院理工学系, 助教 (70580489)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 最適化問題 / 準凸最適化問題 / 応用数学 / 凸解析 |
研究実績の概要 |
準凸最適化問題は経済学等の問題を最も適切に数理モデル化できる手法の一つである。緩和は問題を解きやすい形に帰着して解決する手法であるが、準凸最適化においては未解決課題が多く残されている。本研究の目的は、緩和問題に関する研究の一つとして、準凸最適化問題に対する双対理論を用いた緩和問題とその同値性に必要な条件を提案することである。このことを鑑み、当該年度においては次のような研究を行った。 ・準凸最適化問題に対する線形計画緩和問題を示した論文が出版された。線形計画問題はもっとも基本的な最適化問題であり、有効なアルゴリズムが複数提案されている。この論文においては生成集合を用いて線形計画緩和問題を導出し、これが同値となるための条件について考察した。その結果、準凸最適化問題を線形計画問題に帰着し、既存の有効なアルゴリズムを用いて問題を解決することが可能になる。ここでは近年の双対理論の結果を用いて、同値性の十分条件を示している点が特徴である。 ・準凸最適化問題の近似解に対する劣微分を用いた最適性条件を示した論文が出版された。一般的な最適化問題においては厳密解を効率的に求めることが難しい場合が多く、近似解を求める解法の研究が盛んである。この論文においては、準凸最適化問題の近似解に対する研究として、2種類のイプシロン劣微分を用いた結果を示した。特に近似解に対する最適性の必要十分条件を示したほか、近似解全体の集合に対する特徴付けを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度想定していた近似解に対する最適性条件に関する研究が予定通りに達成できたため。特に準凸最適化問題の近似解に対して、2種類のイプシロン劣微分を用いた最適性条件を示し、近似解の特徴付けを導出した。解集合の特徴付けについても過去の結果を包含する形で一般化することが出来た。 一方で新型コロナウィルス感染症の影響により研究発表を行う機会が十分に取れず、研究期間を延長することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症の影響により研究期間を延長することとなったが、継続して準凸最適化問題の緩和に関する研究をさらに充実させると共に、得られた結果を用いて共役関数を用いた緩和問題や双対性に関する研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の影響で、参加予定だった研究集会等が全てオンラインでの開催となり、旅費としての執行ができなかったため次年度使用額が生じた。 2022年度使用額については、国内での研究成果発表のための出張費、論文オープンアクセス化のための費用等として計画する。
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