研究課題/領域番号 |
19K03622
|
研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
中田 寿夫 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (10304693)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 超重裾分布 / 対数パレート分布 |
研究実績の概要 |
本年度は重い裾をもつ分布族のうち超重裾の分布族といわれている分布族の極限定理についての研究を主に行った。扱った分布族を簡単に説明すると、確率分布の裾関数が緩変動するものや裾の重さがそれに準じるものの必ずしも緩変動するとは限らない族である。この分布族に族する分布について、切断和に関するいくつかの極限定理をえることができた。具体的には超重裾分布について独立同分布確率変数列をそれぞれ切断し、その和が安定するための調査を行い、切断の位置と大数の強法則や中心極限定理が成立するための裾の重さについての関係を定理の形でまとめることができた。確率分布の裾が緩変動するような通常では取り扱わないような重い裾をもつ分布であっても切断の位置を調整すれば、困難を克服することができることがわかった。実際は、タウバー型の定理を要所で使用するために扱う分布族をかなり制限したが、ある程度すっきりした形で切断の位置について議論することができた。結果は、2020年にBull. Inst. Math. Acad. Sinicaに掲載された。口頭発表は国内の統計数理研究所の2020年度共同研究集会「無限分解可能過程に関連する諸問題」で行った。
また、重い裾をもつ分布族の研究をしていきながら分布族の性質の良くない部分を認識するために、通常の扱い易い具体的な確率分布の研究も行った。具体的には「Buffon の針の問題」という古典確率論でよく扱われるもので、拡張された問題について性質を調べた。教育的な内容でもあり、報告者の研究室に当時在籍していた学生と共著でMath. Gazette で公表した。これに関しては口頭発表は行っていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文の形として発表することができたから。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度に引き続き、しばらくは超重裾の分布族の極限定理について進めていく予定である。扱う分布族は裾が重すぎるため通常の形での極限定理をえることができないことが一般的に知られている。それを踏まえて極限定理の形や条件を再調査することにより、通常と異なった何等かの極限定理をえることができないか具体例を通して見極めようと考えている。またそれに付随して、分布族の組合せについての調査も同時に行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
旅費の予算が計上されていたが、感染症への配慮のため今年度は全く使用されなかった。そのため物品費を少し潤沢に使用することができた。次年度以降、出張が可能となった場合は感染症の配慮をしつつ旅費として使用したいと考えている。
|