疾患登録が存在する状況において、2つの集団の類似性を利用し介入試験の治療効果を広い集団に一般化したり、他の集団に移送したりする方法を検討した。特に単群試験や小規模な比較試験の場合に着目した。 希少難治性てんかん疾患登録を利用する限局性皮質異形成II型の薬剤介入試験の事例において、介入試験の対象集団と疾患登録の対象集団の類似性を確認した。サンプルサイズは介入試験が15人、疾患登録が60人であり、治療効果への影響が考えられる患者背景の集団間の違いが大きかった。それが傾向スコアの分布の違いにあらわれ、対象者数が限られている場合の課題が抽出された。 小規模な比較試験の治療効果を他の集団に移送する方法について、逆確率重み付け法、g公式、較正重み法、二重頑健な推定方法の性能をシミュレーションにより確認した。治療効果の変数は連続値とし、正規分布に従う複数の共変量を設定した。移送先のサンプルサイズは10000、比較試験のサンプルサイズは1000以下の場合を検討した。その結果、比較試験のサンプルサイズが100より小さくなると、いずれの方法も推定値のばらつきが大きくなるが、二重頑健な逆確率重み付け法や較正重み法は、他の方法よりもバイアスとばらつきが小さいことが確認された。 また、単群試験のアウトカムが生存時間である状況において、サンプルサイズが小さい場合の制限付き平均生存時間の信頼区間について検討した。複数の変数変換を行った場合の性能評価を行い、特徴を把握し、論文化した。
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